1日、福岡県暴力団排除条例(以下、暴排条例)が施行された。同条例は、暴力団に利益供与した一般人にも罰則を定めたことで、全国の都道府県で初となる条例。
暴排条例の具体的な内容は、暴力団の排除(以下、暴排)に関する基本的施策、青少年の健全な育成、飲食店、貸ホール等の事業活動、及び不動産の譲渡等に関する遵守事項となっている。
基本的施策は、(1)公共事業からの暴力団の排除、(2)暴排活動を行なう人への警察による保護、(3)暴排活動のための民事訴訟への支援(裁判費用の貸付・情報提供等)、(4)暴排活動に関する広報及び啓発活動。
青少年の健全な育成を図るための措置では、「学校等周辺区域における暴力団事務所の開設・運営の禁止(違反した場合は罰則)」等が定められている。
事業活動においては、(1)暴力団の威力を利用するための商取引、(2)暴力団に協力する目的の利益供与、(3)貸ホール等で、暴力団活動に資するものと知って、暴力団員と取引すること、(4)暴力団員等に対する不等な優先的な扱いをすること。以上の4つが禁止されている。このうち(1)は悪質な行為に罰則、(2)は悪質な行為に勧告、または店名公表等のペナルティが課せられる。
不動産の譲渡等に関しては、(1)暴力団事務所に使用されないために契約先に使用目的を確認すること、(2)暴力団事務所使用を知った上での譲渡等の禁止、さらに暴力団事務所に使用された場合は、(3)催告なしで契約解除できる旨を契約内容に含めること、(4)契約解除・買い戻しに努めること等を定めている。
福岡県には工藤会(北九州市)、道仁会(久留米市)、太州会(田川市)、福博会(福岡市)、九州誠道会(大牟田市)の5つの指定暴力団が存在し、全国最多となっている。
暴排条例の施行に先駆けて、各地で追放運動が行なわれてきたが、福岡県警は、暴排条例における目的のひとつに「暴力団の資金源を断つこと」としている。
一方、条例の施行にあたり、暴排運動に参加する県民、事業者からは暴力団に関する情報公開や保護対策を求める声が上がっており、県警の今後の対応が注目される。
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【全国初】暴力団排除条例制定(福岡県警ホームページ)
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