崇明三島の開発を飛躍的に進展させ、すでに多くの人の流れを生み出しているのが、上海、長興島、崇明島を結ぶ上海長江トンネルと上海長江大橋である。その長さは、長江大橋が9.97キロ、長江トンネルは8.95キロ。両道を結ぶ長興島の道路を含めた総延長距離は25.5キロで、越海道路としては世界最長である。また、トンネルの照明にLEDを使用するなどさまざまな最新技術が導入されている。
2009年10月31日、04年12月の着工から約5年で開通。総額126億元(約1,638億円)の資金が投入された。
開通前はフェリーが上海と崇明島を結ぶ主な交通手段であり、人の往来は少なかった。そのため崇明島は、上海都心部の急激な都市開発からとり残されたかたちとなっていた。しかし、見方を変えれば、都市開発で失われた自然と広大な土地が手付かずで残ったとも言える。
現在、崇明島では環境リゾートとしての開発が進んでいるが、すでに東灘湿地や森林公園などへ、多くの観光客が訪れている。崇明島に家を建て、上海市へ通勤する会社員も増えてきているという。ただし、大橋とトンネルの通行料が往復100元とやや高額であるため、観光客や移住者には、どちらかと言えば富裕層側の人間が多い。
【山下 康太】
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