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中洲バトルロワイヤル2010(12)~悪化する労働条件、店側の本音とは?
中洲バトルロワイヤル
2010年4月 2日 11:12

 先日、訪れた店で隣に座った女性が「4月からオープンする店で働くので、遊びに来てくださいね」と声をかけてきた。店じまいも珍しくなくなっている今のご時勢である。開店するには、よほどの覚悟がいることだろう。

 ひと昔前のまだ中洲がバブリーだった頃、ご祝儀や祝いの意味を含めた高額ボトルのキープで荒稼ぎをして、短期間で店仕舞いするというケースは多かった。タチの悪い商法だ。客はもちろんテナントの家主にも、「2、3カ月で店じまいする」とは言わない。気づけば閉店していたという具合である。

 しかし、今はオープン時のご祝儀そのものが期待できない。厳しい状況下で、利益を出すことができる、いや、利益が出ずとも耐えられる覚悟が、経営者には求められている。
中洲バトルロワイヤル2010_12.jpg  「前の店のお客さんから『店を出してやろうか』なんて言われることもあります。昔だったら飛びついていたけど、今はちょっと乗り気になれませんね」。現在、中洲のスナックで働く元高級クラブ嬢はそう語る。聞くところによると、今は300万もあれば中洲に店を持つことはできるという。店を出したくても出せなかった昔に比べると、開店資金は圧倒的に下がっている。現状、テナントは空いていても借り手がいないのだ。

 客から金が取れない分を、働き手であるキャバクラ嬢から取る店が増えている。
 「お客さんが少ないときは、店長が女の子を指名して強制的に早退させられることがあります。出勤前には『今日は客をつれて来られるの?』と聞かれます。それで『ひとりもいません』と答えたら『キミは休みにするから、店に来ないでね』って。つまり、その日は収入ゼロということです」。そう話す女性は中洲のラウンジを辞め、家出同然に飛び出してきた実家へ戻った。そして現在は、近所のコンビニでアルバイトをしている。

 赤字を減らすために人件費をカットする。どこの業界でもあることだが、働く側にとってみればたまったものではない。なかには、罰金・ノルマを強める店もある。前出の元キャバクラ嬢曰く、「遅刻の罰金は10分で1,000円。ノルマも景気が良かった頃より厳しいから、絶対無理ですよ」。

 不景気に伴う労働条件の悪化から、東京ではキャバクラ嬢の労働組合なるものが結成された。こうした動きに対し、「たしかに女の子の扱いが酷い店もあるので、気持ちは分かります。だけど、今は経営者も苦しい。金を出したくても出せない。今は店のスタッフが一丸とならなければいけないのに・・・」と、ある経営者は語る。なかにはやむを得ないリストラもあるという。

 「遅刻をして客を逃がす」、さらには「営業努力もしない」、そんなキャバクラ嬢は、さっさと辞めさせたいのが店側の本音。ひとつ言えるのは、現状、中洲においては、雇う側も働く側も高いリスクを背負わなければならないということだ。

(つづく)

長丘 萬月(ながおか まんげつ)
 1977年、福岡県生まれ。雑誌編集業を経て、2009年フリーライターへ転身。体を張った現場取材を通して、男の遊び文化を研究している。


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