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前途多難~老舗百貨店井筒屋(43)~低迷する百貨店業界~そごうの破綻が示唆するもの(4)
特別取材
2010年4月 2日 08:00

 2005年12月26日、ミレニアムリテイリングの和田社長は、セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文社長に傘下入りを打診。野村プリンシパル・ファイナンスがミレニアムリテイリングの保有株式をセブン&アイが引き受け、「そごう」と「西武百貨店」はセブン&アイの傘下入りすることになる。

 かつて新興勢力のスーパー業界の雄「ダイエー」は、百貨店経営に乗り出し「プランタン」を開業、既存百貨店業界に挑戦したが、切り崩すことはできなかった。飛ぶ鳥を落とす勢いであったダイエーも、今は産業再生機構の支援を経て総合商社丸紅の主導で再建途上にある。同業のイオンの出資や業務提携の支援を受けて営業強化を急いでいる。その当時栄華を誇った百貨店業界の一角を担う「そごう」と「西武百貨店」が、スーパー業界の雄、セブン&アイ・ホールディングスの傘下に入ったことは、百貨店業界の凋落を如実に示している。

 果たして「井筒屋」は、私的ガイドラインに沿って金融機関の債権放棄を受けて、三越伊勢丹ホールディングスの傘下に収まり、2011年に福岡三越と統合を予定している「岩田屋」のようになれるかどうか。井筒屋支援に理解を示していた武藤信一(64歳)三越伊勢丹ホールディングス会長兼最高経営責任者が2010年1月6日に多臓器不全で亡くなっており、井筒屋の同グループ入りに暗い影を落としている。今は大手百貨店も店舗閉鎖を余儀なくされている状況であり、地方百貨店を救済する余力はない。井筒屋を取り巻く環境は厳しい。ちなみに百貨店の市場規模は年々縮小しており、日本百貨店協会によると、09年の全国百貨店の売上高は6兆5,842億円で、前年比10.1%減と過去最大の下げ幅となっている。

(つづく)
【北山 譲】


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