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特別取材

プロ野球選手からの転身 顧客目線を貫く司法書士の生き様(3)
特別取材
2010年4月 5日 10:00

桧山泰浩事務所 司法書士 桧山 泰浩 氏
桧山泰浩事務所 司法書士 桧山 泰浩 氏
<あらゆる依頼に向き合う>

 ―開業から14年を経て、司法書士の仕事の本質が分かってきた頃ではないでしょうか。

 桧山 正直なところ、大上段に構えた理念を掲げているわけではありません。人権派でもないし、平和になればなどという大それた考えでもありません。野球時代と違って、社会との接点も限られたものです。でも、私には相談してくれる依頼者がいます。依頼者を助けたいという、その一点だけです。それが多重債務の問題であろうと登記の問題であろうと、あるいは交通事故の示談の問題でも姿勢は変わりません。

 ―さまざまな問題に接してこられて、解決が難しいと感じたのはどういう案件でしたか。

 桧山 離婚などは実際には解決が難しい問題です。というのも、離婚は成立した後に問題が表面化するからです。たとえば、女性側が裁判で養育費を勝ち取ったとしましょう。ですが、離婚後の男性も恋愛はしますし、後妻との間に子どもが生まれます。そこにお金が流れていけば養育費の支払いが滞ることになります。仮に経済的な余裕があっても、後妻が快く養育費の支払いを容認するケースは稀です。
 いずれにしろ、養育費は支払われなくなる事例の方が圧倒的に多くなるわけです。離婚した後の生活が成り立たなければ、本当の意味での解決とはいえません。その意味で、相当に解決が難しい問題ではないでしょうか。

 ―顧客の目線が徹底されているところに、仕事への姿勢が強く出ていますね。最後になりますが、弁護士や司法書士の業界では、多重債務問題での所得隠しが取り沙汰されています。自身の今後のビジョンと合わせて、どのようにお考えですか。

 桧山 お金はある程度は必要でしょうが、仕事というのは心が満たされなければ面白くありません。荒稼ぎしようと思えば必ず所得隠しで捕まるようになっているのでしょう。今後の懲戒処分で彼らの氏名が公表されるでしょうが、そうなると、結局は顧客を失うことになってしまいます。
 今後のビジョンについても先の話と共通します。この仕事の醍醐味は顧客の相談を受け、そこに十分に満足できる解決策を仕上げること、依頼者が喜んでくれる姿に直に触れられることです。この一点だけを掲げ、これからもあらゆる依頼に向き合っていきたいと考えています。

(了)

【文・構成:田口 芳州】

桧山 泰浩(ひやま やすひろ)
1967年4月生まれ。福岡県出身。
福岡県立東筑高等学校を経て、1985年にドラフト1位で近鉄バッファローズに入団。92年に韓国のサンパンウル・レイダースに移籍するも、その年を境に引退。2年間の浪人生活を経て、司法書士試験に合格。96年に司法書士登録を行ない、現在は「桧山泰浩事務所」(福岡市中央区荒戸1‐3‐20 5F、電話:092-752-0920)を開設している。


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