多様性に富んだ経済構造への転換で 日本中すべての地域にチャンスを
<悪循環の拡大>
今の日本経済は、敗戦直後としか言いようがない。
今年度の一般税収は、37兆円に過ぎない。20年前の1990年度の一般税収が60兆円だったから、それを4割も下回る。高齢化の進行により年金や医療などの財政支出は増大し、来年度の財政支出規模は100兆円に迫る。46年以来初めて、国債の発行が一般税収を下回ることになったのだ。
この経済敗戦によって、経済成長と所得・生活格差の縮小を両立させた戦後自民党の「一億総中流社会」は崩壊し、「国土の均衡ある発展」は不可能になった。さらに、日本経済を再生するはずだった小泉・竹中改革は経済敗戦を加速してしまった。
小泉改革の中心にいた竹中平蔵氏は、「今の日本経済の衰退の原因は『改革』が足りないからだ、『官から民』と『小さな政府』を徹底しグローバル化と規制緩和と市場原理を進めれば、企業の収益は向上し、国民の生活は豊かになり財政は再建される」という。果たして、改革は足りなかったのだろうか。
企業収益の面から見れば、竹中改革は十分に目的を達成したといえる。98年に20兆円に落ち込んだ日本企業の経常利益は、小泉政権が誕生した01年から急速に回復し、リーマン・ショック前には史上最高の50兆円台にまで達した。
ところが、家計の実質可処分所得は、この10年間で1割減った。給料やボーナスだけでなく、資産からの所得はさらに激減している。もはや常態と化した超低金利によって、国民の利子所得はかつての38兆円のピークから4兆円にまで低下した。貯蓄率にいたっては、81年の18%からわずか2%にまで低下している。貯金をする余裕もないし、貯金しても利子収入はほとんど期待できないのだ。
さらに、20年前の80年代末に4万円台目前だった日経平均株価は、4分の1になった。国が預かっている国民の年金資産は、05年の150兆円から09年には125兆円にまで減っている。
給料や金融資産からの収入は減っているのに、住宅ローンなどは減らないから、その返済のために消費を思い切って切り詰めるしかない。激安消費に拍車がかかるから、それが企業の売上を低下させ、雇用と所得が減ってさらに消費が減る。
そのうえに、リーマン・ショック後の日銀の金融政策の無策をあざ笑うかのように1ドル110円台から80円台へ円高となり、デフレは長期化し、企業物価は10%も低下したから、それがさらなる雇用と所得を落ち込ませる悪循環を拡大した。
企業が儲かれば、国民は豊かになり税収が増えるという、80年代までの日本経済の常識や竹中改革のシナリオとは、まったく逆の動きをしたことがわかる。
なぜだろうか。答えは単純である。
【シンポジウム「激変時代の日本 地域自立の新ビジョン 鈴木宗男vs山崎養世」】
日 時:2010年4月19日(月) 17:00~(開場16:00)
会 場:アクロス福岡 福岡シンフォニーホール (福岡市中央区天神1-1-1)
会 費:5,000円
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