各社の戦略から生き残り策を考える
<地産地消、食の原点に立ち返る>
日本は地域ごとで手に入る食材が違い、それが独特の食文化を育んできた。こうした原点に立ち返り、地産地消で外食ビジネスに取り組む企業も増えた。福岡の「グラノ24K」や熊本の「ティア」はその代表格で、共通するキーワードが規格外である。
これらは農家や漁師が正規ルートに出せない食材でも味が良くて安全であれば、種類や量に関係なく、言い値で買い取る。価格は市場出荷の半額くらいだが、年間契約のため漁師や農家の手取り収入は増える代わりに品質や鮮度管理といった責任も生じる。
一般に生産される野菜の約3割は規格外と言われる。それまでほとんど捨てられていた野菜を一手に買い取ることで、食の安全、安心を確保しながら、コスト削減を図るのだ。
ティアが展開する「もったいない食堂」は、さらに一歩進んで農業や漁業はもちろん、調味料でも地域の業者と積極的な連携を図る。魚は佐世保のアクトフォー、卵は水俣のもじょか堂や福島のけるぷ農場、料理酒は福島の仁井田本家の旬味と全国規模に及ぶ。
食の安全や安心は生産者の顔が見えて、外食企業がそれを発信していくしかない。そのためには食材の生産から仕入れ、調理加工までの流れを再構築する必要がある。当然、そこには責任と情報開示が求められる。食材の生産者と外食企業が意識を改革し、連携や交流を行なうなかで、一緒に食の未来を考えていくことが重要だということである。
【釼 英雄】
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