昨年8月の総選挙で民主党が大勝、政権交代が実現した。予算編成時の陳情風景はもちろん、様々な場面での変化を実感させる永田町だが、議員活動の拠点である「議員会館」も変貌している。
永田町には、衆議院第1議員会館、同第2議員会館、参議院議員会館の3棟が存在する。老朽化などを理由に、2007年から全棟の建て替え工事が進められてきたが、完成間近となっており、今年中には引越しの予定(写真参照)。 現在の2.5倍とも言われる新議員会館だが、「予算陳情を県連などでふるいにかけるようになって、地方自治体による永田町への陳情がめっきり減った。広いスペースを持て余すんじゃないか」との声も上がる。ある衆院議員は「新しい議員会館こそムダ遣いの象徴」と言い切る。それほど豪華な施設ということだ。
新議員会館は、現在使用されている議員会館がちっぽけに見えるほどの威容で、周辺の風景も一変させたが、そこを訪れる「客」も大きく変わったという。
あるベテラン議員秘書が次のように話す。「永田町で一番大きく変わったのは、議員会館を訪れる『客』。会館の中を大手を振って歩いているのは労組の幹部ばかり。労組が闊歩する議員会館になったんです。本当にこれでいいのかと考えこんでしまいます」。
北海道教職員組合(北教組)による民主党議員への違法な政治資金提供で明らかとなったように、民主党と労組の関係は深い。地方での選挙基盤が脆弱な民主党にとって、労組の組織力とカネは手放すことのできないもの。同党最大の支持母体が「連合」であることは紛れもない事実だ。しかし、労組による民主党支配は好ましいことではない。「官」主導が「労組」主導に変わるだけなら、政権交代の意味がないからだ。
政治が特定団体の恣意によって歪められることのないよう、監視の目を光らせることを忘れてはならない。
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