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特別取材

JAL再生に立ち込める暗雲 噴出する数々の不安材料(2)
特別取材
2010年4月13日 08:00

<「怪文書」で噴出する人事面での不平不満>

 不況のなか、再就職は覚束ない。怨嗟の声とともに、JALの「お家芸」ともいえる怪文書が早くも飛び交っている。その1つが、「日本航空社員有志一同」と名乗って3月初めに報道機関に送りつけられたものである。それには、こうある。
 「このような未曾有の危機に過去のしがらみにまみれた、まさに今日の経営破綻を招来せしめたその中心人物を要職に配置することは、絶対にあってはならないものと考えます」。
 法的整理に追い込まれたJALは経営陣を一新するものと思われたが、さにあらず。経営責任のある旧経営陣が大挙して延命を図ったのだ。
 06年のクーデターで新町敏行元社長の追放に決起した「4人組」の一人である大村裕康人事労務統括専務ら、旧体制下で要職を務めた者が相次いで残留を決め、JALを倒産させた西松遥前社長も日航財団の理事長に天下っている。それに反して、経営責任に無縁なミドルたちが退職を迫られれば、不平不満が巻き起こるのも無理はない。
 一見過酷に見えるリストラ策だが、これまで手付かずだったものが多すぎた裏返しでもある。「1万5,000人削減」も、グループ会社の売却による要員削減約6,400人と自然減約4,000人で合計1万人の削減を捻出するなど、痛みを伴わないものが中心で、核となる削減は先述の2,700人の早期退職だけである。

(つづく)

【尾山 大将】


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