福岡市中央区天神にお菓子の「ひよ子」で有名な(株)ひよ子が福岡市中央区天神に所有していた通称「ひよ子ビル」を巡って、ビルの買主である(株)コマーシャル・アールイーと仲介者である(株)福住の間で訴訟が行なわれていた。
08年にコマーシャル社が「ひよ子ビル」の横の建物を購入したことが、ことの始まりだった。購入した建物と「ひよ子ビル」の一括売却を目論んだコマーシャル社は、福住を仲介者に約17億8,000万円で同ビルの購入を決断した。だが、手付金1億7,000万円余りを支払ったにもかかわらず、転売の目論見が崩れたことで決済期日までに残金を支払うことができなかった。結果的に損害金を支払い、契約を合意解除した。
問題となったのは、福住に対する手数料の支払いである。福住は契約時に半分はもらっていたが、決済時にもらう予定の半分をもらっていないため、残額の支払いを求めて報酬金支払の訴訟を起こしたのである。
争点となったのは転売先について。コマーシャル社は「福住が有力な転売先があると言ったことを信じて購入したのであり、転売が実現しなかったのだから決済時の手数料は支払う必要がない」と主張し、福住は「転売についての媒介契約はしておらず、具体的な紹介もしていない」と主張していた。
福住が2,700万円余りの報酬金支払いを求めた訴訟だったが、今年3月10日にコマーシャル社が福住に1,000万円の和解金を支払う形で和解が成立した。
コマーシャル社は手付金、損害金、和解金で合計2億円超の損失を被ることになった。
【緒方克美】
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