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味岡グループVS坡平産業 逆風下の生コンクリート業界を牽引する九州の雄(2)
特別取材
2010年4月20日 08:00

<業界を束ねる 強いリーダーシップ>
 
 同グループの味岡代表のもとには、全国各地の生コン会社から経営に関する相談や問い合わせが入ってきている。また、熊本県生コンクリート工業組合の理事長をはじめ、各地区の生コンクリート協同組合の要職も兼ねる。個々の生コン工場のマネジメントや組合運営におけるまとめ役として、九州地方はもちろん、全国各地を訪問し、指導・アドバイスを実践している。
 当たり前のことではあるが、工場の現場についてきめ細やかなマネジメントも行なっている。製造工程、物流、労務管理はもとより製造スタッフの基本姿勢―プラント内できちんとヘルメットを被っているか、服のボタンがはだけていないか、整理整頓が行なわれているか、など小さなことまで厳しい目でチェックする。
 また、早朝配送や夕方配送の受注にあたっては、それらを統括する各工場長の資質を重要視する。ムリ・ムダ・ムラを徹底的に見直し、利益率を向上させるのだ。
味岡グループ組織図 20年以上前に引き受けてグループ傘下となった熊本県内の工場については、引き受ける前に10年間赤字を垂れ流していた。それが、味岡代表のもとでは3,000万円の最終黒字を計上するようになったという事例も存在する。机上の空論でなく、営業・配送・集金そしてクレーム処理を自ら行ない、経験に裏づけられた徹底した現場第一主義により、味岡代表が引き受けた工場は次々と好転した。
 その原動力は、まさに味岡代表の強いリーダーシップと、工場の経営改善は2~3日構想を練ったうえでマネジメントの方針を決定し、実行するという"即断即決"の姿勢である。
 味岡社長が強力なリーダーシップを発揮した事例は、まだある。かつて、同グループ内の味岡西諸地区建設事業協同組合においての話。西諸県郡地区の弱小生コンの経営者達が意地を張り合い、各社分裂。業界全体が瀕死の状態にあり共倒れ寸前であった。そのようななか、調整役で呼ばれた味岡社長は次のように一喝したという。
 「同業者が相打ちして全滅したら、誰が地域復興の役割を果たすのか」―この一喝で同業者が引き締まり、各社がこの事業協同組合のもとに結束するようになったというエピソードだ。ただし、一喝するだけでなく、事前に各経営者と膝を突き合わせてじっくり話し合ってことを進めていったという。
 工場のM&Aおよび集約化についても然りである。組合活動の調整においては、オーナーに平等な扱いをして利益分配に文句が出ないよう配慮を行ない、不平不満を極力出さないことに最大限尽力している。
 「味岡さんに来てもらえたならば、業界の再編と地域復興に貢献してもらえる」として、生コン業界の救世主として名を馳せてきたのである。
 

(つづく)
 
【河原 清明】

 
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