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表示規制の狭間で揺れる健康食品(6)~表示にすがる健食の功罪(下)「えがおの黒酢(6)」
特別取材
2010年4月27日 08:00

カプセル内容量の4割強は油

 前回、『えがおの黒酢』におけるアミノ酸含有量が437.8mgであることを述べた。同品1粒あたりの重量はホームページの内容表示http://www.241241.jp/products/moromi/index.htmlによれば560mgで、2粒だと1,120mgとなる。分析上、多少の誤差を認めるとして、グラフ上にある1,134mgという数字に問題はなさそう。
 同品の1粒当たりの内容量は360mgとなっている。ソフトカプセルといわれる形状で、健康食品によくあるタイプの、表面が艶々した黒っぽいフットボール形のカプセルだ。ふつうカプセルを覆う皮膜などに、ゼラチンやミツロウなどの製剤助剤が用いられている。これは一言でいえば精度の高いたんぱく質だ。その量が560mgから360mgを差し引いた200mgとされる。また一般的に、内容量360mgのうちの4割強は、有効成分を均等にソフトカプセルのなかに詰めるために必要なサフラン油などの油類だとされている。この場合だとその量がおよそ150mgに当たる。すると、360mgから200mgを差し引いた160mgが1粒中の有効成分の量だというのがわかる。2粒だと320mgだ。

いいとこ取りのチラシで大儲け?

 おや? と思われる読者も多いのではないか。えがお社では、2粒中に含まれるアミノ酸量を、グラフでは437.8mgと明示しているからだ。ここに明示されているアミノ酸量を合計すればそうなる。とすれば、概算であるにしても、その差の117.8mgはいったい何に由来したアミノ酸量なのだろうか?
 ここには、黒酢と一緒に詰め込まれているナットウキナーゼや大豆ペプチドのアミノ酸、さらにゼラチンや油類に本来豊富に含まれているアミノ酸も合算されている、と推定することができる。というよりも、そう考えるしかないだろう。アミノ酸はたんぱく質なのである。たとえ黒酢のソフトカプセルでなくとも、ソフトカプセル形状の健康食品であれば、否が応でも一定量のアミノ酸は検出される道理にあるわけだ。
 どう少なく見積もっても、437.8mgから320mgを差し引いた117.8mgは意図して詰め込まれた有効成分とされるもの以外のアミノ酸に当たる量で、その320mgのなかにも、ナットウキナーゼや大豆ペプチドなどに含まれるアミノ酸が相当量含まれていると考えざるをえない。まして、ナットウキナーゼや大豆ペプチドが国産品であるとは、通常だと考えにくい。日本における大豆輸入量は昨年まででおよそ400万トンで、国産が約26万トン。93~94%は輸入大豆に頼っているのがわが国の現状だ。
 ただし、繰り返すようだが、チラシ自体に「黒酢以外の成分も国産である」とは一言も謳っていないし、「120倍」のアミノ酸が黒酢だけに由来するものだとも標ぼうしてはいない。やはり、実にうまくできたチラシである。それにしても、「いいとこ取り」のチラシであることだけは否めまい。

2010年3月、福岡市内で全国紙に折り込まれたチラシ

▼関連リンク
「えがおの黒酢」ホームページ

(つづく)
【田代】
 

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