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上海最先端レポート

義母経済(下)~日本人が知らない中国事情(8)
上海最先端レポート
2010年4月27日 08:00
劉 剛

 苦しむのは一般家庭の子と『新生上海人』です。『新生上海人』とは、優秀な大学成績により認められて、地方または農村部からやってきた人たちです。上海の戸籍を持っていますが、両親をはじめ、親族関係は地方にいます。そもそも家が貧しいため「稼いだお金を実家まで送金してほしい」と期待されています。彼らにとって、夢だった上海の暮らしは想像以上に厳しいのです。その一方で、結婚は人生において避けて通れないものだから、そのためにも一生懸命お金を貯めなければいけない。
 結果として、結婚する年齢が大幅に遅れます。2009年、上海市民男性の平均結婚年齢は32.05歳で、中国全体のトップになりました。ちなみに、法律上では男性は22歳以上からで結婚できます。

 義母が求める"マンション所有"という高い条件に対して、上海の男性たちはどんな動きを取るでしょうか。地元で頑張って働くほかに、ふたつの傾向があります。

 ひとつは外国へ出稼ぎに行く。たとえば日本。3年間頑張って、300~400万円を貯めて帰国します。ただし、同じ金額の日本円でも、上海における相場は変わっています。1999年に350万円(レート:1万円=700人民元)あれば、上海で70~80㎡のマンションを購入できました。しかし、2009年では10㎡強程度です。まあ、それでも無いよりはマシです。

 もうひとつは、地方の都市へ移住することです。実際に、去年末から一部のホワイトカラーは上海を出て、杭州、蘇州、武漢、青島などへ転居しています。移住先の給料は上海よりも低いですが、物件の価格を考えるとかなり魅力的です。上海の地元新聞(文汇報)によると、14%の『新生上海人』が「高すぎるマンション価格」を理由に"撤退"することを考えていると分かりました。

 『義母経済』からいろんな面に影響が出ているなか、良かろうが、悪かろうが、上海の不動産市場を支えていることは認めなければなりません。義母は未来の花婿たちに目標を与え、「マンションを買えるように頑張ってください」とハッパをかけています。2009年、上海全市の新規結婚登録は14万組余りに達しました。仮に半分の家庭がマンションを買ったとすれば、不動産市場の繁栄に繋がる一本の有力な柱になることは間違いありません。

 一方、『義母経済』をひとつの要因として、上海のマンション価格が突き上げられます。全体的に上海の生活コストは上昇し続けています。上海はだんだん暮らしにくくなりつつある。そして、中小企業の発展に必要な人材がやむを得ず上海を去って行きます。そうした人材のほかにも、都市発展に影響を及ぼす問題が浮上しています。

 一枚のコインに両面があるように、『義母経済』はプラスとマイナスの両面があります。どう捉えるか、見る人の立場が問われるでしょう。しかしながら、存在する以上、それなりの合理性があると筆者は考えます。

(了)

【劉 剛(りゅう ごう)氏 略歴】
1973年12月生まれ。中国上海出身。上海の大学を経て、96年に地元の人材派遣会社に入社。10年3月より福岡に常駐。趣味は読書。


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