ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

深層WATCH

新聞流動化元年 なりふり構わぬ瀬戸際の新聞業界(中)
深層WATCH
2010年4月28日 08:00

<情報有料化への回帰>

 それというのも両紙が新聞、放送、出版、広告などメディア産業二強として、共に背に腹を替えられない事情を抱えているからだ。情報コングロマリットとして巨大化した両社だが、最大の懸案は柱である新聞の広告収入激減だ。新聞、雑誌、放送は売上部数と広告収入が両輪。いずれも日本経済の長期低迷による広告減のあおりを受けているが、代わってインターネットへの広告出稿が増加。雑誌を抜き、新聞に迫ったのが一昨年。そして昨年ついに新聞を抜いた。
 電通の2009年データによれば、広告料収入のトップであるテレビは1兆7,139億円、2位がインターネットで7,069億円、新聞は3位に落ちて6,739億円。08年のインターネットが6,983億円で漸増なのに対して、新聞は8,276億円から急減(18.6%減)しているから事態は深刻である。讀賣1,000万部、朝日800万部がそれぞれの死守ラインだが、ともにコスト削減は急務だ。
 他方、独自路線を踏み出したのが日経新聞。ネットによる記事の有料化である。同社は3月から全紙面をパソコン(PC)や携帯で読める電子版を創刊。本紙の宅配購読者には1,000円を上乗せ、ネットのみの購読者は月4,000円で読者の募集を始めた。自宅外でPCや携帯で新聞を読める利便性に目を付けたものだが、これを安いとみるか、高いとみるか微妙なところ。ただ「情報はタダではない」というメディアとしての基本に戻るのが、どんな反響を呼ぶか業界注目のマトだ。
 メディア王として知られるニューズ・コーポレーションのルパート・マードック氏は、ネットによる新聞の無料化という自ら撒いたタネを反省。高級紙「ウォールストリート・ジャーナル」のネットでの購読を有料化したのは周知の通り。新聞の一部無料化は米国で始まり、日本の新聞各紙もそれに追随したが、米国では有料に回帰しつつある。もともと記者が時間と経費をかけて取材した記事を無料で提供するのは、タコアシ商法のようなもの。最近、渡邊恒雄讀賣新聞会長が、無料のニュース提供を「痛恨のきわみ」と反省していると伝えられるのも当然だろう。

(つづく)

恩田 勝亘【おんだ・かつのぶ】
1943年生まれ。67年より女性誌や雑誌のライター。71年より『週刊現代』記者として長年スクープを連発。2007年からはフリーに転じ、政治・経済・社会問題とテーマは幅広い。チェルノブイリ原子力発電所現地特派員レポートなどで健筆を振るっている。著書に『東京電力・帝国の暗黒』(七つ森書館)、『原発に子孫の命は売れない―舛倉隆と棚塩原発反対同盟23年の闘い』(七つ森書館)、『仏教の格言』(KKベストセラーズ)、『日本に君臨するもの』(主婦の友社―共著)など。


*記事へのご意見はこちら


※記事へのご意見はこちら

深層WATCH一覧
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル