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表示規制の狭間で揺れる健康食品(5)~表示にすがる健食の功罪(上)「長命草」
特別取材
2010年4月12日 11:24

薬事法の壁を突破

 『与那国青汁』という名の健康食品が初めて市場にお目見えしたのは、2005年の秋のことだった。福岡市内の健康食品製造・販売会社ロイヤルジャパン(株)(福岡市博多区)によって世に送り出されたのが同年10月。原料は琉球諸島の与那国島に自生する植物で、別名「長命草」ともいわれていたボタンボウフウの葉。葉がボタンに似ていることからそう呼ばれている。
現在、(株)資生堂(東京都中央区)が売り出している青汁ブランド『資生堂 長命草』(ドリンク/タブレット)と同じ原料だ。アミノ酸やカルシウム、カリウムなどのミネラル類、またビタミン類を豊富に含む植物として、同島では古くから健康祈願の際の神への捧げものとして用いられていた。これを食べれば1日命が延びるともいわれ、「長命草」と呼ばれてきたらしい。
 上市にあたっては、当時のロイヤルジャパンもいろいろと苦労した形跡がある。当時、さとうきび栽培を主体としていた同島では、長命草を島おこしの起爆剤と目し、研究・マーケティングが進められていた。
 そこに大きな壁として立ちはだかったのが薬事法である。「延命」や「不老長寿」など、医薬品的な効能効果の暗示を示す文言を容器や包装に記してはならないとされていたからだ。ロイヤルジャパンはやむなく前述のとおり長命草のネーミングを断念し、『与那国青汁』として発売した。
 その後、沖縄県の粘り強い陳情により、厚生労働省も「長命草」というネーミングを「長命草(ボタンボウフウ)」とカッコ付きで和名を記入することで販売を許可するに至った。以後、市場ではこれまでの大葉やケール、桑の葉とは違った青汁商品の新たなブランドとして認知を受け、安定した動きをみせていた。ところが、資生堂の参入によって一挙に原料がひっ迫することになる。

大手の買い占めが招く価格高騰

 (株)名護パイン園が運営する通販事業部で、年商約5億円を売り上げるパイナップル王国(沖縄県豊見城市)では、昨年発売を開始した『与那国 長命草青汁』(3g×30包・3,801円税込)1,000箱近くを4カ月で完売した。その後、同商品は終売となった。
「資生堂による買い占めのため原料が確保できず、終売にせざるをえなかった」(同社)という。
 証言から、資生堂が他社より高い値段で原料の買い占めを進めている実態が明るみに出た。現在、原料の供給ルートは与那国島のJAとロイヤルジャパンの2ルートのみとなっているもようで、ロイヤルジャパンはPB・OEMの取り扱いしか行なわない。
 6~7年前、テレビの健康番組の影響も手伝い、コエンザイムQ10の原料が高騰し1kg数万円の価格が10倍の数10万円に跳ね上がった時期がある。結果、中国産などの混ぜ物が横行し、市場に良からぬ影響を及ぼした。最終的に割を食うのは消費者である。沖縄県では過去に、琉球もろみ酢の粗悪品が出回って県内の健康食品市場の低迷を招いたが、そのことが教訓として活かされているのかどうか。
 中小の企業が苦労して種をまき、ようやく手塩にかけた市場が育った頃に後発の大手企業が実りを刈り取っていくという手法は、健食業界に限らずよくある構図だ。それにしても、健康食品業界全体の健全化を考えた場合、資生堂に自粛を求めたい企業はパイナップル王国ばかりではあるまい。

(つづく)

【田代】

▼関連リンク
『資生堂 長命草』
パイナップル王国 『長命草青汁』
ロイヤルジャパン(株)


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