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特別取材

JAL再生に立ち込める暗雲 噴出する数々の不安材料(1)
特別取材
2010年4月12日 08:00

 会社更生法の適用の申請をするとともに、企業再生支援機構の支援を受け、総額9,000億円の公的性格の資金が投入されている日本航空(JAL)の経営再建が危ぶまれている。更生法申請から3カ月が経とうとするが、赤字は一向に止まらない。リストラ策が不十分で、徹底しようとすれば、8つもある労組との軋轢が生じることは必至だ。人事をめぐっての不平不満も沸き起こっている。

<記者会見で明るみになる事実上の退職勧奨>

	JAL再生に暗雲が... キャビンアテンダントら客室乗務員でつくる「日航キャビンクルーユニオン」の組合員は、4月6日、大阪と福岡で記者会見を行ない、JALが伊丹、福岡両空港の客室乗務員室を6月末に閉鎖し、成田・羽田に一元化しようとしていることを明らかにした。同労組の組合員は、「育児や介護を抱える客室乗務員はすぐには異動できない。事実上の整理解雇だ」と反対している。
 組合員たちの主張も分からなくはないが、JALは会社更生手続き中で経営効率化は欠かせない。しかも、成田と羽田に勤める客室乗務員が約6,000人もいるのに、伊丹は445人、福岡は62人しかいない。関西国際空港発着の国際線は2006年対比で8割も減り、福岡発の国際線も香港、上海行きなど相次いで撤退してきた。便数はすでに相当減少しており、もはや大阪と福岡に客室乗務員の拠点を構える必然性は乏しい。本来ならば、倒産前に統合して効率化するのが当然なのに、労組の抵抗を気にして手付かずだったのが真相である。
 JALは企業再生支援機構の監督下、グループ5万2,000人の従業員のうち1万5,000人余りを削減する計画を立て、3月に入って2,700人を対象にした早期退職の募集を始めた。大阪と福岡の客室乗務員室の廃止もこうした人員削減策に沿い、転勤が無理な彼女たちにこの機会に辞めてもらおうという腹だろう。
 すでに、非組合員である管理職の部長、次長・課長級には個別面談が始まり、各自の人事考課をもとに「成績の悪いものは辞めてくれ」(管理職の1人)と促されている。割り増し退職金は6カ月分(平均500万円)しかなく、募集とはいうものの実質、退職勧奨に近い。

(つづく)

【尾山 大将】


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