13日、統合幕僚監部は、8日午前、東シナ海中部海域において、中国艦艇から発艦したと思われる艦載ヘリコプターが警戒監視中の護衛艦「すずなみ」(第5護衛隊所属)に対し、近接飛行したと発表した。ヘリは、「すずなみ」から水平距離約100ヤード、高度約100フィートを飛行したとされ、艦艇の安全航行上危険な距離である。
この行為が、命令によるものか、パイロットの独断によるものかは定かではないが、「専守防衛」を掲げる自衛隊が、絶対に手を出せないと分かった上で行われた示威、あるいは挑発行為である可能性は高い。
同様の行為は、軍艦や艦載機に限らず、海洋調査船でも見られる。警戒監視を行なう護衛艦がいようがいまいが、中国の調査船は何食わぬ顔で調査を実施している。もはや中国にとって海自の存在は「絶対に吠えない番犬」となっているのではないだろうか。もしも、同様に、事前通告無しで、アメリカの軍艦に対し近接行為をした場合、どのような対処がとられるだろうか。
同発表では、7日から9日まで、同海域でソブレメンヌイ級ミサイル艦(排水量7,940トン)2隻、ジャンウェイⅡ級フリゲート(同2,250トン)1隻、ジャンウェイⅠ級フリゲート(同2,250トン)が、艦載ヘリコプターの飛行を行なう等の訓練を行なっていたことを確認したとしている。また、10日午後8時には、「すずなみ」と護衛艦「ちょうかい」(第6護衛隊所属)が、沖縄本島の西南西約140kmの南西諸島を東シナ海から太平洋へ向けて南東進する潜水艦2隻を含む中国軍艦10隻を確認したという。
こうした軍事演習は外交戦略の一環であることは言うまでもない。日本政府には、毅然とした態度で抗議することを要望する。
【山下 康太】
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