18日に告示される宗像市長選挙は3人による争いとなりそうだ。現在のところ立候補の意思を表明しているのは、現職で民主、自民、公明、社民推薦の谷井博美氏(69)、新人で元宗像市職員の村田維信氏(63)、同じく新人で元陸上自衛官の森田卓也氏(37)の無所属3人。しかし、選挙は事実上の一騎打ちとなる見込みだ。このうち森田氏は37歳の若さで宗像市長選に挑戦、宗像市民が一丸となった市政「十万一心のまちづくり」を目指す。その決意はいかなるものだろうか。告示に先立ち、宗像市が抱える問題とその解決策、ビジョンなどについてインタビューを行なった。
Q1.宗像市の現状について
<人口及びその構成>
現在の市政では、長寿命化に伴う新しい福祉ニーズに対応する展望がなく、将来に対する明るい希望を市民に示していません。なかでも団地の老齢化、学童数の減少、老老介護の進行等、宗像市の老衰減少が懸念されます。これらの総合的解決策として、若年人口の増加対策は長期的展望をもって緊急に取り組むべき課題です。
私は、長期的展望のもとに、次に述べる施策を複合的に実行するべきと考えます。
まず、40歳以下のUターン移住者に市民税の軽減措置を行ないます。これは、10年間限定で所帯主の住民税2分の1を減税するというものです。また、市の職員採用時には優遇枠を、そして民間企業の雇用には助成制度を作ります。次に、スポーツ青年団を結成し、スポーツ奨励により地域間の交流を進め、ふるさと作りをしてもらいます。そして、「ホーム・カミング・デー(Home Coming Day)」として、中学卒業20年目に合同同窓会を開催し、Uターンのきっかけを作ります。
宗像市は、まちづくり40年が経過しており、老衰減少が見えます。それに対する有効な対策がなく、将来の展望も示されていないのが現状です。まず、コミュニティ活動の位置付けを末端地域行政として明確化しなければなりません。全13コミュニティで約1,000名の人材を確保し、ひとり年間10万円の活動費を助成します。これは、活動従事者を専門職として身分保証し、奉仕活動への対価を認める新しい考えです。必要な人材を確保することと、実効性と効率性をしっかりすることで、地域の皆さんが、やり甲斐をもって福祉活動をすることができます。
現在、宗像市には、行政の目の行き届かない分野で、行政の補完的役割を担って活動しているNPOなどが多数あります。しかし、その多くが人材の確保・活動資金の調達に悩みつつ自ら資金を手出しして頑張っている状況にあります。そこでNPO、ボランティア支援として『1%寄付制度』を設けます。これは住民税納付時、その1%を納税者の自由意志によりいずれかの団体を指定して寄付できる制度です。NPO、ボランティア団体の活動資金を助成することで、団体による活動を住民と共に行なう社会貢献と認知し、その発展を期します。この制度による市民の皆さんへの増税はありません。
<社会福祉>
現在の縦割り行政組織では、巡回介護、独居老人の生活支援など新しいニーズに対応できず、迅速性や住民満足度において問題があります。そこで柔軟対応が可能な横断的組織に改編します。目標は「老後は在宅で」を基本に家族に頼らなくても安心して過ごせる福祉社会を、他市に先駆けて実現することです。保険制度だけでは支えきれない質を追及、医療と介護を組み合わせて独居や老老世帯の生活不安を解消します。
今後、長寿命化に伴い運転ができない高齢者が急速に増加していきます。通院・買物のための地域高齢者の交通手段の確保は、新しい行政の責任です。私が考えているのは、運営を各コミュニティに委託する「デマンドバス」の導入です。これは、現在、試験が行なわれている「コミュニティーバス」と違い、燃料・維持費・運転手手当てなどの必要な維持経費を行政がすべて負担するものです。
(つづく)
【森田 卓也(もりた たくや)】
1972年宗像市自由ヶ丘生まれ。96年、防衛大学校を卒業し、防衛庁(現防衛省)陸上自衛隊に入隊。防衛大学校教官、中隊長などを歴任する。06年、退官(1等陸尉)し、福岡県議会議員秘書を務める。09年、同秘書を退職し、現在に至る。座右の銘は「義をみてせざるは勇なきなり」。
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