22日、鳩山首相の母親から受け取ったカネを、亡くなった人の名前を使うといった、いわゆる「故人献金」の形などで政治資金として利用。首相の資金管理団体「友愛政経懇話会」の政治資金収支報告書に虚偽の記載をしたとして、政治資金規正法違反の罪に問われた首相の元公設第一秘書に有罪判決が下った。
東京地裁の判断は禁固2年執行猶予3年(求刑禁固2年)というもの。判決理由の中で裁判長は、「事実とかけ離れた収支報告書が公開され、国民の政治に対する不信感が生まれかねず、刑事責任は軽視できない」と述べているが、これは間違い。「生まれかねず」ではなく、「確実に政治不信を増大させた」と言うべきだろう。
容疑事実は約4億円の政治資金の虚偽記載だが、そもそも首相に流れた母親のカネは10億円を超える。その使途について、首相はこれまで何の説明もしていない。判決で、首相の「政治とカネ」に対する疑惑が一層深まったと言っても過言ではない。
通常なら「脱税」で摘発され、逮捕、起訴されるべき事案でありながら、首相というだけで許されてしまった。このことに対する国民の不信感は拭い切れない。10億円ものカネが動いたというのに「知らなかった」とする首相の、大人としての常識も疑わざるをえない。
政治の再生のために民主党を選んだ有権者の失望は大きい。首相は、公の場で、きちんとカネの使途を説明すべきだろう。参院選に向けてのマニフェスト以上に重要なことではないだろうか。