<提案力の養成が緊急の課題>
福岡県建設協同組合の会長であり、松本組社長の松本優三氏が過去の業界体質を総括して反省する。松本氏は「ただ我が業界のことだけを考えてお役所に仕事のお願いをするだけの活動に世間から顰蹙(ひんしゅく)を買ってきた。政治家に献金して仕事の便宜をはかる裏の根回しをするような悪人イメージも我々自身がばら撒いてきたのだ。談合に対しても世間に犯罪行為との印象を定着させてしまったのは不徳のいたすところだろう。我が業界にとって緊急に改善する課題は提案力ではないか」と問題提起する。
これまで人口の割に合わない、地方における公共事業の予算が集中投入されてきた。その反面、都市部が疎外されてきた印象は免れない。その都市部のインフラ整備において、耐与年数を超え、危険水位に達しているケースが数多くなっている。ガス管・水道管・下水管に支障が生ずれば都市機能は一瞬にして麻痺する。平時は何事もないとありがたみを感じない。その都市機能を支えている下水管の3分の1は、使用年数が50年を超えているという。性能疲労の段階をとっくの昔にオーバーしているのだ。松本氏は「このような都市のインフラの惨状を警告し、解決策の提案を大胆に公にしていくことが重要だ」と力説する。
<タウンマネージメントへ>
福岡市を見渡すと建設ビジネスはゴロゴロ転がっているではないか。地元の建設業者間の主導のもと、関係者で六本松・九大キャンパス跡地に対する有効活用プランの研究を行なう。そして発表する動きがあっても良いのだが、その動きも表面化しない。この六本松キャンパス敷地の主力は裁判所関連の移転が決定されている。そのため地元関係者が独自で画策する余地には欠ける面は理解できる。
だが九大箱崎キャンバスに関しては、まだ充分に時間が残されている。広大な敷地だ。農業試験場を含めると100haはあるだろう。仰々しくなるかもしれない。しかし大言壮語ではないはずだ。この箱崎キャンパスの敷地の活用如何では都市福岡東部地区の浮沈にかかわると言える。成功すれば東部地区の活性化は疑いない。失敗すれば人口が減り空洞化を招くであろう。福岡の建設業者の皆さん! 知恵を絞りなさい。ただし、都市再開発プランが練られて以降、請負のチャンスを握ったとしてもプラスメリットは僅かなものだ。
考えてみてください! 地下鉄貝塚駅から北側に国道3号線が走っている。そこを横切るとマンションが林立しているのに気づくだろう。昭和鉄工の工場跡地だ。同地は経営危機を乗り切るために売却された。あるデベロッパーが買収して大型マンション団地を建設したのである。壮大な眺めであるが、九大箱崎キャンパス跡地に同じ光景を再現させたくはない。地元建設業者の方々が、この跡地においてマンション受注のみに終始してもらいたくはない。
まずは大きな風呂敷を広げることだ。箱崎キャンパス跡地再開発においてビジネスの最終ゴールをマネージメントに設定することである。言葉を代えればタウンマネージメントの領域だ。そのための会社を共同で設立すればよいではないか。行政を巻き込んで企画会議を積み上げていく。「都市福岡東部の浮揚の決定打はこれだ!」と提案してみたらどうだ。都市プランナーの優秀な専門家たちは福岡に沢山いる。異業種JVで企画から管理・資金調達まで総合戦略を具体化できたら画期的なことになる。立地から判断してもアイランドシティの活性化よりも容易である。都市福岡は九州のどの都市よりも再開発できる地区が無数にある。恵まれている。ビジネス可能な案件は腐るほどあるのだ。
「脱請負業」に果敢に挑戦する人はいませんか!
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