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コダマの核心

高松組1周忌に臨んで~建設請負業は危機に乗り越えるか(12)新次元への挑戦(後)
コダマの核心
2010年5月 4日 08:01

<明暗くっきり> 建設業の淘汰はまだ加速化する。他業種に目を転じてみればなお過酷だ。電気自動車は予想される以上に加速的に増えるであろう。仮にガソリン車と電気自動車の価格に100万円の差があるとしよう。ガソリンと電気の燃料コストにおいて、5年間で電気自動車が元を取り戻すならば利用者の選択の道は予想される。ガソリン車の停滞・減少は石油の元売・小売に打撃を与える。石油流通は壊滅的な打撃を受ける。ガソリンスタンドが激変することは確定したようなものだ。ここで働く従業員達の雇用の受け皿となる産業あるのか!

 一例をあげたが、淘汰されるのは建設業者だけではない。だから同情の余地がないのは至極、当然。さて福岡地区の建設業者の今後を占ってみる。まず5億、10億規模(年商)では建設業としての経営基盤の成立が困難視される。この規模であれば本社経費の捻出が厳しくなる。人材確保・技術のスキルアップも覚束なくなるだろう。そして切実な問題は施主様が5億、10億規模の建設業者を相手にしなくなることは間違いない。指名から外されば仕事は取れない。家賃収入のある建設業者さんは廃業をお勧めする。

 裏を返すと最低30億円の完工高を確保しないと建設業の経営の維持は難しいということである。30億円規模でないと仕入先は相手をしてくれても施主・人材から見放されるということだ。福岡都市圏を眺めてみた場合、30億円規模の業者は30社くらいに絞られていくのではないか! 冷酷な言い方だがこれが現実である。仮に30億円以上の規模の会社でも請負業では儲けはでない。「大か小(零細)しか生き残れない、真ん中はない」明暗がはっきりとしてきた。

<住宅には未来がある>
 小(零細)の生き残る道は親父自らが現場で汗を流すしかない。倒産した建設会社の経営者達とはいまでも付き合いをしている。福岡大学工学部建築学科を卒業して一級建築士を持っている友人Aは会社設立15年目に倒産した。65歳になった現在でも解体工事から拾い仕事までこなしている。口には出さないが、月に100万円の粗収入はあるようだ。同じような経歴のあるBも友人知人から増改築工事を受けて忙しい。いろいろな経済団体の役職もこなしている。誰でも人生には七転び八起きがある。だがいま紹介した実例は事業の範囲でではなく自営業のレベルであろう。

 まだまだ参入の魅力があるのは住宅の分野である。この分野では経営者の我儘な想いを顧客に伝え、ビジネスのやりがいのある未開発の領域が残っている。最近、地元の住宅業者27社を調査したが、元気なところも多い。大手との戦いも可能である。マンション業者が安易に建売に走っている傾向が目立つが、長続きしないだろう。住宅戦線ではこだわりのある哲学住宅しか商売にならない。建設請負業のなかには住宅に特化すればビジネスとして軌道にのせられる会社も必ずある。フォローの風はおまけとして逆風の中で生命持続できる経営を展開するしか方策はないだろう。


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