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上海最先端レポート

中国の大学生も就職難(下)~日本人が知らない中国事情(15)
上海最先端レポート
2010年5月10日 08:00
劉 剛

 しかし、いかに厳しい就職状況とはいえ、果たして高度成長と言われている最中、仕事がほんとにないと言えるでしょうか。答えは「NO」。仕事があるにも関わらず、大学生らが望ましい仕事がないというのが正確な捉え方です。

 今の大学生が就職先を探す際、ふたつの傾向があります。ひとつは、就職先がほぼ大都市であることを希望する傾向です。農村部出身の生徒でも、卒業後、地元に戻り、故郷の繁盛のために一生懸命働くことを考える人は少ないのです。「大都市で就職することが出世」、「農村に行くのは最後の選択」と認識している大学生がほとんどです。

 もうひとつは、ホワイトカラーの職業、つまり、オフィスでの仕事を好む傾向です。きつい、汚い、危険と言われる、製造現場などで汗をかき、技を磨くような職場を、極力避けています。毎日、きれいなワイシャツを着用し、格好よく見える職場が理想とされているのです。その背景にあるのは、学生たちの仕事に対する甘い考えです。一方的なイメージで楽な仕事ばかりを望み、辛くてタフな仕事を対象にもしないのです。

 当然ながら、就職競争が激烈になるなかで、先入観を持てば、選択肢がぐっと狭まります。また、多くの求職者が同じタイプの仕事ばかりに絞り込めば、競争が激しくなるどころか、率で計算すると"外れるのが当たり前"ということになります。

 そこで政府は「厳しい現実に迫られるなか就職問題を解決するのには、学生らの意識転換が先行」と考えました。現在、出口戦略として大卒者らに現場主義を呼びかけています。「就職を望むなら農村、社会組織の最下層の現場へ」「現場こそ新たな青春の舞台、青年に大いに期待している」などと提唱しているのです。

上海・崇明島にある大農場 また、今年の中央政府による第1号の政令は『農業、農村、農民』をテーマにしていました。実は、今年に限らず、もう7年連続で中央政府の第1号の政令は同じテーマです。貧しい農村部こそ、政府は重点を置いています。これから国の力が入るところこそ、大卒者にとって将来性があります。今までたくさんの未開発区域がある農村にこそ、大卒者の価値が生かされる舞台になるのです。

 また、大卒者は、政府機関や民間企業に関わらず、最前線の現場に行くべきです。そこは辛いかもしれませんが、一番人材が足りないところです。一番人材がほしいところです。そこには、知識と情熱に満ち溢れる青年たちが来ることへの切なる願いがあります。青年たちも才能を存分に発揮し、様々な経験を積み、将来の発展への土台を作れます。

 社会の急速な発展に伴い、都市でも農村でも、教育や医療、介護などの社会福祉、公益サービスの需要が爆発的に出てきており、今後の課題になりつつあります。
 意識が変われば、天地はより広く感じられます。大学生はあくまでも社会の一員である以上、就職を時代の流れや社会の需要に合わせるべきです。大学生たちが社会への貢献を真剣に考えれば、必ず自分の就職先を見出せると筆者は信じています。

(了)

劉剛氏【劉 剛(りゅう ごう)氏 略歴】
1973年12月生まれ。中国上海出身。上海の大学を経て、96年に地元の人材派遣会社に入社。10年3月より福岡に常駐。趣味は読書。


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