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中洲バトルロワイヤル

中洲バトルロワイヤル2010(15)~ZONDAG(どんたく)に休むワケ
中洲バトルロワイヤル
2010年5月10日 10:29

 200万以上の人が見物に訪れた「博多どんたく」。そのメイン行事であるパレードは、呉服町から天神までの明治通りで行なわれた。我がホームタウンである中洲は、その通り沿いにある。市内中心部には複数の舞台が設けられており、各舞台を行き交う人の流れができていた。事実、同じく通り沿いにある上川端商店街は多くの人であふれていた。

全テナント休業のビル 「今夜の中洲はさぞかし賑やかなことだろう」と繰り出したが、中洲大通りへ足を踏み入れるや否や、尋常ならぬ雰囲気に息を飲んだ。大通り沿いが暗い。あたりを見渡せば、看板の電気はところどころ消えていた。なかには、ビルごと休業のところもあった。その全力で閉められたシャッターに「今日が休み」であることを痛感させられた。うかつだった。ゴールデンウィークに中洲の飲み屋が休むことをすっかり忘れていた。

 ちなみに「どんたく」の語源は、休日を表すオランダ語の「ゾンターク(ZONDAG)」だとか。週休二日が当たり前になる前に使われていた「半どん」は「半分どんたく」ということであるらしい。
 その意味から察すると、「どんたく(休日)」だから中洲の飲み屋が休むのだろうか。実は、本当の理由は"客が全く来ない"からである。「200万もの人が集まっているのになぜ?」と思う人もいるだろう。
 「博多どんたく」が行なわれる4日、5日に店を閉めているのは、どちらかと言えば地域密着型のスナックが中心である。主に地元人以外の経営者がやっているキャバクラ、そのほか一般飲食店、居酒屋もいくつか営業している。一方で、普段は夕方からしか開かない那珂川沿いの屋台は、どんたくで集まった観光客目当てに昼間から営業している。

 確かに、夜の中洲大通りを歩く人は多い。しかし、よく観察してみれば、普段の中洲の客層と全然違うことに気づくだろう。基本的に往来しているのは若者が中心。いつも8割を占めるスーツ姿もなかなか見かけることができない。どんたく帰りのカップルや家族連れなど、いつもは見ない人たちが大通を歩いている。中洲の常連たちは連休中、それぞれの地元に帰省しているのである。つまり、スナックが店を開けてもたいていヒマになる。過去の実績から、多くの経営者がそう見ているのだ。
 ただし、全く集客がないというわけではない。どんたくの日に、遊び目的で訪れているのは、連休中に福岡へ帰省している若者たちだ。そうした客層が行くのはキャバクラや中洲1丁目の風俗店である。中洲1丁目の無料案内所は多くの人で混雑しており、聞けば、待ち時間が出ている店もあるという。

 賑やかなどんたくとは対照的に半ばゴーストタウンと化す中洲。県外から来た人たちが見たら少し驚くかもしれないが、ある意味、客のニーズに対応した姿とも言える。ともかく、「どんたく(休日)はしっかり休んで、休み明けから元気に営業!」が中洲の伝統なのだ。

(つづく)

長丘 萬月(ながおか まんげつ)
 1977年、福岡県生まれ。雑誌編集業を経て、2009年フリーライターへ転身。体を張った現場取材を通して、男の遊び文化を研究している。


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