今秋の福岡市長選挙に向けて、自民党をはじめとする市議会野党側の候補者が絞り込まれつつある。自民党関係者の話によれば、参院選前には候補者を決定したいとしている。
現在、出馬の意思を明確に見せているのは元教育長の植木とみ子氏で、拠点には、すでにスタッフ1人が常駐。小学校区単位で地域への浸透を図るため、ミニ集会などを重ねる計画であるとされる。政党の推薦などにはこだわらない方針だとしているが、自民党などの支援に期待を持っているのは確か。山崎広太郎前市長が植木氏支持で動いているとも言われているが、これが吉と出るかどうかは分からない。植木氏は出馬への姿勢を崩しておらず、6月にも正式表明する模様だ。
植木氏は、自民、みらい福岡、公明などの支援を得ることを目指していると見られていたが、各派がこぞって支持することは困難な情勢。県政界関係者などの話を総合すれば、福岡市議会野党会派の間では、これまで吉田宏市長に対抗する候補者として、名人もの名前が浮上してきた。立候補表明へとひた走る植木氏に加え、福岡市城南区を地盤とする自民党の武藤英治県議も市長選立候補を模索していたことが明らかとなった。その他、無所属の県議や元市議会議長も依然として意欲を示している。しかし、決め手に欠けるとの判断からか候補者の正式決定には至っていない。
「手あかのついた人物では(吉田市長には)勝てない」(市議会関係者)。これが市議会有力筋の本音であり、経済界も含めて広く賛同を得られる人材を求めてきたと見られる。手あかのついていない人物とは、これまで俎上に載っていないということを意味する。
急浮上してきたのは元官僚の2人。福岡県に縁のある2人はそろって元財務官僚。それぞれ官房審議官や財務局長を経験したキャリアである。現在、ひとりは日本政策金融公庫の役員に出向、もうひとりは大学教授となっている。現職の官僚にはいったん出馬を断られたが、再度出馬を要請するという情報もある。この2人のうち、どちらかが出馬要請を受けた場合、自民、みらい、公明がまとまる可能性が高い。すでにこの2人に絞ったとの話も出始めている。
吉田宏市長の再選への戦略が見えてこないなか、市政転換への動きが急となってきた。
※記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら