生コン業界が暗中模索の状況下であることはお伝えしている。40年以上前の需要に落ち込んでおり、今後飛躍的に需要が伸びることは、絶望的である。
「1億m3の年間出荷量を割り込み、更には9,000万m3にも届かず8,000万台になってしまった。今年度は7,000万m3あれば御の字ではなかろうか...誰を恨むことはないし、恨んでも商売に繋がらない。自分も含め現実を直視して、冷静になって業界の再編を考えねばならない。規模が少なくなっているのだから、業界も縮小体制にしていかねばならない。組合体制も然りである」と九州地方の業界関係者は語る。
福岡県下の生コン販売会社幹部は以下のように語る。
「今の我が国企業は、業界最大手を中心に合併していかに生き残っていくかを必死になって取り組んでいる。業務提携や協業も大手・中小問わず盛んになってきている。自分達だけではもう太刀打ち出来ないのが現実。生コン業界もそう。合法的に価格カルテルが認められているとはいえ、出荷が激減し続けているから工場の経営は風前の灯である。このままでは、冗談抜きで破綻するか夜逃げする生コン工場が続出する位業界は、弱体化している。まだ業界として何とかなる状況の今、一手を講じないといけない。例えば、福岡県下の協同組合を一本化する。組合もスリム化すべきだ。どこの地区も冷え込んでいる。福岡県で協同組合が7地区も必要だろうか。福岡県全体で年間308万m3の出荷。5年前と比較して60%だ。1協同組合で充分だ。協同組合連合会である。九州地区では宮崎県がその体制である。他、青森・静岡・石川各県も連合会の体制である。この位の出荷量で何故、7組合も必要なのか。福岡県として品質も価格も統一出来てマネジメントし易く、ユーザー側にも分りやすくて良い。福岡県全体で工場数を見直して立て直しを実施すべきである。それが出来るのは、工業組合である。技術的なことさえやっておけば良いのではなく、全協同組合の状況を把握しているのであるから、自らが先頭に立って1本化に向けて、アクションを起こすべきであろう。福岡県生コン業界内で危機感は以前より感じられる事は確かだが、具体的な行動を起こしているとは言い難い」。
同幹部が提言する「協同組合の一本化」が実現すれば、福岡県下の業界縮図は大きく変わることは確かであろう。
【河原 清明】
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