平成19年のロボスクエア移転では、市職員5人で構成された「移転先評価委員会」によるたった2回の会議で移転先をTNC会館に決めていた。まず、この評価に対して大きな疑問がある。
移転先候補地はベイサイドプレイス、BiVi福岡、TNC放送会館の3箇所。評価委員会はそれぞれについて採点し、最高点を得たTNC会館を移転先として決定する。福岡市に情報公開請求して入手した評価表の最終集計は次のようなものだが、これは5人の評価委員がそれぞれの項目にA(5点)、B(3点)、C(1点)を付け、その項目ごとの総点に比重0.2をかけて合計点を算出したものだ。
評価委員のそれぞれの評価点は、ベイサイドとTNCが拮抗しており、3人が同点、ひとりが2点差でTNC優位となっている。しかし、最後のひとりだけが8点もの差を付けてTNCを最高評価しているのである。この委員の評価表が次の文書である。
経済性、交通アクセスでTNCがベイサイドと同じとは思えない。評価観点として記された「空港、駅、港からのアクセス」という点では、あきらかにベイサイドのほうが上。経済性については「賃料、共益費、公報費」を合わせると、TNCが一番高い金額なのだ。「周辺施設へ波及効果『地区のまちづくりへの影響』」という観点でも、ベイサイドとTNCが同じだとは到底思えない。意図的にTNCに高い評価を与えた可能性は否定できないのではないだろうか。
福岡市の公金が投入される事業でありながら、ロボスクエアの移転先は、たった2回の会議で、しかも疑問を残す評価方法で決められてしまった。さらに問題なのは、運営主体である「ロボスクエア運営委員会」(会長:鎌田迪貞九経連会長。当時)は、何の議論もすることなく書面表決という形で、市側の方針に賛成してしまう。運営委員会は有名無実化していたのである。
こうした無責任体質がロボスクエアを舞台とした経済事件を招来したと言っても過言ではあるまい。
しかし、移転にあたっての疑問はまだあった。
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