13日、警察庁は2009年に起きた自殺の概要について発表した。それによると自殺者総数は32,845人(前年比596人増)であり、98年以降、12年連続で3万人を超えたことが分かった。
98年より前の自殺者数はおおむね22,000人前後で推移していた。しかし、98年に前年比8,472人増の32,863人となり、3万人を突破している。98年は、はたしてどんな年であったか。
世相を反映して選ばれる日本漢字能力検定協会の『今年の漢字』を調べると『毒』であった。同年は、和歌山毒物カレー事件をはじめとする複数の毒物混入事件やダイオキシン問題など起き、世間を揺るがした。また、インターネットを介して購入した毒物による自殺者が多かった。なお、97年の漢字は『倒』である。大企業の倒産や銀行の破綻が相次いた。こうした経済情勢の悪化が自殺者数の増加につながった。
09年に話を戻す。警察庁が発表した自殺の概要を見ると、自ら死を選んだ動機として、「健康問題」15,867人、「経済・生活問題」8,377人、「家庭問題」4,117人、「勤務問題」2,528人となっている。年代別で見ると、「50歳代」が6,491人で最も多く、全体の19.8%。その後に「60歳代」18.1%、「40歳代」16.0%と続く。職業別では、「無職者」が18,722人で最も多く、全体の57.0%を占めた。続いて、「被雇用者」27.9%、「自営業・家族従事者」9.7%となっている。これらの順位は前年と同じであるという。
09年の漢字は『新』。民主党政権の誕生やオバマ大統領の就任などを反映したとされているが、こと自殺者数においては先行き不透明な社会情勢を色濃く反映している。経済不況に伴う企業の破綻、失業者の増加や就職難、高齢化社会における独居老人の問題、介護による精神的負担など、人々が不安を感じる問題は数多い。
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