国土交通省・国土技術政策総合研究所は、2009年11月に行なった"工務店等(戸建て木造住宅のつくり手)による維持管理業務への取組みに関する"アンケート調査の結果を発表した。このアンケート調査は、同研究所が2008年度より3カ年計画で進めている総合技術開発プロジェクト「多世代利用型超長期住宅及び宅地の形成・管理技術の開発」の一環である。
戸建て木造住宅の長寿命化の推進に際して適切な維持管理を行なうことは不可欠で重要な業務とし、その担い手としての役割が期待される「つくり手」(工務店等)に対し、「維持管理」への取組状況を調査した。 アンケートに回答した工務店等は、そのほとんど(9割以上)が維持管理関連業務に取り組んでいた。 住宅の長寿命化に向けて求められている「定期点検の実施」、「維持管理計画の策定」、「建物設計情報等の作成保存」といった業務についても一定の取組みはなされていた。
対象となったのは、(社)全国中小建築工事業団体連合会『工務店サポートサンター』登録の1,020社のうち453件の回答。ちなみに、回答した工務店の規模は、37.4%が1年あたりの新築住宅戸数5戸までの小規模な工務店。10戸未満は24.5%。20 戸を超える工務店13.2%、50 戸を超える工務店は約6.1%であった。
維持管理においては、91.3%の工務店が、自社にて維持管理業務(定期的な点検や修繕工事など)を実施。6.6%が維持管理をしない。3.9%が他社に委託するという結果であった。
無償点検においては、87%の工務店が実施しており、その期間は、平均新築後7.5 年、回数は4.4 回。なお、回答工務店の規模による比較では、無料での実施率、無料点検の平均回数ともに、規模の比較的小さな工務店が比較的大きな工務店よりも低いという傾向である。
規模の大小を問わず、全国の各工務店には、住宅におけるストック社会に沿った施策を積極的に展開する傾向が強くなってきているようだ。ただし、アンケート数値にも出ているように、住宅の設計施工や維持管理などに関する情報の作成・保存・維持管理計画の作成を自社で行なっている工務店は、60%台である。維持管理業務を自社で実施している数値よりやや低い。本気で住宅の長寿化に取り組もうという意識の向上をさらに促進することも課題であろう。
【河原 清明】
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