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特別取材

「フード・健康アイランド九州」実現へ新たなスタート(5)【健康食品の表示問題を考えよう!(2)】
特別取材
2010年5月17日 08:00

産学官連携 特別座談会

フード・健康アイランド九州 2007年、九州の地で全国でも初めてとなる機能性食品・健康食品に特化したバイオクラスター計画が産声を上げた。九州地域バイオクラスター推進協議会の下、九州全域から大学、研究機関、原料メーカー、販売会社など177社・団体が参加する堂々の産官学プロジェクトだ。研究・開発から販路開拓支援まで、一連の商流をカバーする一大プロジェクトとして関係者の注目を集めている。09年には、一番食品(株)(福岡県飯塚市)による『発酵黒八女茶』や(株)阿蘇ファームランド(熊本県南阿蘇村)による『どぎゃん』など、産学官マッチングによる商品化も果たしている。事業自立化の年となる3年目の今年、同プロジェクトに新たな課題も浮上した。九州経済産業局をはじめ同協議会の各部会を代表するメンバーを招き、これまでの足跡を振り返りながら将来展望を考えた。

バイオを核に根付いた熊本の産学官連携

 ――岩原先生は熊本からお越しいただきました。九州地域バイオクラスター推進協議会の事務局は(財)くまもとテクノ産業財団が担っています。そのあたりの背景についてお聞きしたいのですが。

岩原 事務局として(財)くまもとテクノ産業財団が唐突に出てきたわけではありませんで、それなりのバックグラウンドというものがあります。
 1976年に崇城大学の前身である熊本工業大学に生物系、今でいうバイオ系の応用微生物工学科という学科ができたということがひとつ大きなエポックメーキング的なことだったかもしれません。それができた経緯がもともと熊本の地元の産業界、特に発酵醸造関係の酒屋さんとか醤油屋さんに発しています。従来、後継ぎなどを教育するために東京農大とか地方の国立大学の一部に子弟を送り込んでいたのですが、できれば地元に後継ぎを教育してくれる研究教育機関をつくってくれないかと、当時の学長に要請されたことを受けて設立されたものです。
 私は当時から在職しておりましたので今年で34年目になりますが、当時は工学部のなかのバイオ系ということで、農学に近い研究が多かったものですから、今でいう農工連携の芽がそこですでにできていたといえると思います。
 その後1982年に、ただ教育するだけでは地域との連携が密にならないということで、何かバイオ系の研究会をつくろうというので、バイオテクノロジー研究推進会を発足して今年で27年目になります。この会ができることによって、当時は産学官連携というのがまだあまり叫ばれていなかった時代に、農業に近い食品バイオ系ができたということで、熊本県に産学官連携が根付いた大きな理由ではないかと考えます。同研究会は現在250名の団体・個人会員をもっています。
 当時バイオテクノロジーという名のついた研究会としては、わが国で最も古いものの1つであろうといわれています。翌年、全国にいろいろなテクノポリスが誕生したときに、熊本テクノポリス財団の中にバイオ系の会はつくられませんでしたが、それは当研究会が存在していたからで、その後も当会を多方面から支援していただいております。
 九州地域バイオクラスターの発足に当たっては、クラスターができる前のクラスター可能性調査の頃に私も委員をやっており、私自身は機能性食品と創薬の2つのグループのうち、機能性食品グループの座長を務めていました。そのなかで機能性食品をキーワードにして、人材育成の分野で関わりを持っています。バイオテクノロジー研究推進会も、熊本を中心にした研究会だったのが、バイオクラスター計画によって各県の連携が深まったことで、一回りも二回りも大きなネットワークに成長したといえます。 
 2008年の10月に、経済産業省の産学人材育成パートナーシップ事業という大きな括りの中の委託事業に崇城大学が管理法人となり、「農商工連携による地域機能性食品のブランド化に必要な中核バイオ人材育成事業」に採択されました。来年度が最終年度に当たるのですが、初年度にはプログラム開発を中心に、09年度から今年度にかけて内容を改変しながら実証研修を行なっています。ここでは「フード・バイオ」をキーワードに3つのモジュールを開発しまして、(1)フード・バイオテクノロジーの講義・座学モジュール、(2)フード・バイオテクノロジーの実験実習モジュール、(3)フード・バイオビジネス講義・演習モジュール――の19講座の研修を延べ900人弱に対して、バイオクラスターのなかの人材育成のための連携促進事業として行なってきました。

 ――もともと熊本にはバイオ関連事業が育成された土壌があったということですが、福岡では企業間の交流というのは以前から活発だったのでしょうか。

宮房 福岡では異業種交流会がけっこう盛んで、11グループあるのですが、そのなかで食品交流プラザという食品関係のものが1つあります。現在会員企業は17社で、そこではいわゆる、いろんな悩みを持ち寄って、グループとして大学の先生を招いて相談に乗っていただいたりしています。

 面白いのは産業界の企業だけが集まって行なっているという点ですね。食品産業でも業種を超えて集まっている点がユニークですね。鹿児島ですと焼酎関連企業が交流する会などがありますが、食品交流プラザというのは、食品1業種1企業が集まるといった感じで、大小を問わずいろいろな業種の食品産業が集まってくるのです。

岩原 私たちもバイオの会で一緒にいくつかの研究会を立上げたことがありますが、何か共同開発をやろうというのでは参加メンバーが限られますので、結局最後まで残る研究会というのはバイオマス資源の有効活用なのですね。これだと各企業あまり格差がなく、お互いにノウハウを隠さずに困っているという点で協力し合う傾向が強く、最後まで助け合いながらものになっていったという分野です。

宮房 食品交流プラザでも似たようなケースがあります。福岡にある油やさんがあるのですが、国内産を主体に生産されていますが、今では油をオーストラリアのカンガルー島からも入れておられるのですが、現地には魚も豊富だし蜂蜜もあるよということで話がありました。会員に養蜂場を営んでいらっしゃる企業さんや魚肉加工販売会社さんがいらっしゃるので、一緒に出かけてみて、結果的にそこから共同でものをとるというようなことで、ビジネスにプラスになるようなこともあります。お互いの企業のために汗をかこうというのが食品交流プラザの主旨なのです。

(つづく)
<出席者>
九州経済産業局 秋本郁夫氏 九州経済産業局 地域経済部製造産業課
次世代・基盤産業担当参事官 秋本郁夫氏
オーム乳業(株)専務取締役 農新介氏 九州地域バイオクラスター推進協議会 企画運営委員会委員長
/オーム乳業(株)専務取締役 農新介氏
一番食品(株)企画部部長 宮房伸博氏 九州地域バイオクラスター推進協議会 マーケティング部会副委員長
/一番食品(株)企画部部長 兼 通信販売事業部長 宮房伸博氏
崇城大学 特任教授・農学博士 岩原正宜氏 九州地域バイオクラスター推進協議会 人材育成関係部会企画運営副委員長/崇城大学 特任教授・農学博士 岩原正宜氏
九州大学 知的財産本部 特任教授・農学博士 深見克哉氏 九州地域バイオクラスター推進協議会 クラスターマネージャー
/九州大学 知的財産本部 特任教授・農学博士 深見克哉氏

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