ベストアメニティ(株) 代表取締役社長 内田 弘 氏
全国行脚で生産者との絆深める
--現在、食品トレーサビリティ認証の国際規格「ISO22005」(※注)の取得に取り組んでおられると聞いています。取得すれば雑穀メーカーとしてはわが国初の快挙となります。
内田 昨年、東京の某出版社に根拠のない中傷記事を書かれたことで一部に思わしくない風評が立ちました。この仕事をはじめた頃は「頑張れよ」と声をかけてくれるのがせいぜいの話で、誰も相手にしてくれなかったものですが、最近では「収穫量」と「出荷量」の数字が合っていないとか、外国産の雑穀が混じっているのではないかなどと、いろいろな憶測、やっかみの類が増えてきました。それならトレーサビリティを担保する国際規格を取得してやろうと思い立ったわけです。
昨年の収穫量はわかっておりますので、今年じゅうには取得できる予定です。取得したら取得したで、毎年農家さんから書類を提出してもらわなければならなくなります。一昨年から昨年にかけて、全国の農家さんに対してお願いの旅に出かけたところ非常に喜んでいただきました。九州・沖縄から北海道まで、全国35ヶ所で延べ140~150人くらいの農家さんとお会いしました。
一般には、仕入れる人たちを無視して、買ってくれる人たちばかりにいくのが商売と思われていました。ところが、国内にわずかしかない農家さんに裏切られると商売になりません。人間関係をつくるために全国行脚をはじめたのです。
--雑穀米のほかにも、環境問題など幅広い活動を行なっておられます。
内田 3年前に「くらぶMy箸」推進委員会を発足しました。弊社が推進しているマイ箸普及推進運動の一環として立ち上げたもので、「環境破壊に結びつく割箸を使わず、自分専用の携帯箸を持ち歩こう」という取り組みに賛同していただくための運動です。福岡市内のホテルでパーティーを開催し、参加者には会員証を配布させていただきました。
今の日本では年間約250億膳の割り箸が使い捨てされていると聞いています。そのうち中国からの輸入分は95%以上にものぼるとされ、中国の森林伐採が問題化するなどよその国にまで迷惑をかけています。
私は常にマイ箸を携帯して歩いており、割箸は使わないようにしています。私が所有しているのは組み立て式のマイ箸なのですが、たとえば外食レストランでマイ箸を取り出して組み立てていると、周囲がもの珍しそうに振り向きますよ。一緒に会食をした人は翌日には必ずといっていいほど環境問題に関心を持つようになります。そしてその人もまた、知人の誰かに環境の話を語る。一度環境のことを口にすると、次からは否応なく環境問題について考えざるを得なくなります。そのきっかけづくりが私の役割だと思っております。
雑穀エキスパート認定者でもあり、マイ箸運動にご協力いただいている王理恵さんが、「和食のカウンターでサッと取り出して使用する姿ってカッコイイ」とおっしゃったことがあります。おっしゃるとおり、どうせ使うならカッコよくありたいですよね。「便利で楽しく、ハイセンスなカッコよさが一番です。この人が持っているのなら私も持ってみよう」そう思っていただけるようなカッコよさもいいと思います。
割箸にかぎらず、レジ袋の使い捨て、歯ブラシの使い捨てなど身近なところで私たちは無意識のうちに環境を破壊しつづけているのです。無知は罪だという哲学者のことばがありますが、知りながら行なう行為は罪以上のものではないでしょうか。環境は私ひとりのものではありません。自分の子どもや孫から預かっている自然環境という財産をきちんと彼らに手渡す義務を負っていると考えています。
(つづく)
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