2010年4月14日に中国国務院常務会議で不動産価格の急騰を抑えるため、"史上最も厳しい取り締り策"が打ち出されました。そのなかの不動産市場に大きいな衝撃を与えるであろう主な項目は以下の通りです。
1.「2軒目のマンションを購入する場合、頭金が少なくとも50%以上(従来は20~30%)、銀行から貸付のローン金利は基準の1.1倍(従来は0.7-0.8倍)にすること」。
2.「3軒目以上のマンションを購入する場合、頭金とローン金利を大幅にあげる(事実上、頭金がほぼ100%に)」。
この取り締り策の背景には、中央政府が腹を立てるほどに、各地のマンション価格や土地売却値段が上昇し続けてきた経緯があります。
09年、中国経済がV字回復を実現したのと同時に、マンション価格が飛ぶように上がりました。上海を例に見ましょう。同年度、上海市における住宅価格の平均伸び率は50%に達しました。最大は126.3%増です。
社会の不満や不安の声があまりにも多く、中央政府は09年12月からマクロ・コントロール策を次々に打ち出しました。デベロッパーの土地購入に対する規制強化から個人のマンション売買に関する税金増加までいろんな手段で物件価格の上昇に何とか歯止めを掛けようとしました。
3月14日閉幕の全国人民代表大会における記者会見で、温家宝首相も不動産高値を抑える決意を表明しました。
しかし、翌日の3月15日に、北京市の土地売却オークションで最高値の新記録が誕生しています。そこから市場は何かしらのヒント(規制の抜け穴)を得たようで、3月下旬に全国の大都市において異常な物件価格の上昇が発生しました。まるで、不動産市場がいたずらっ子のように、全く中央政府の話を聞かないような状況です。そのことが、今回の厳重な取り締りを誘うかたちとなったのです。
では、その効果はどうでしょう。市場の興奮状態が間違えなく抑えられたことは確実に言えると思います。5月7日、北京の土地売却オークションで、外れたケースが久しぶりにありました。上海の土地競売では、最低価格の成約がありました。上海では、2月に230%のプレミアム価格の落札があり、全国首位になったばかりでした。
ある大手仲介業者の統計によると、上海、深圳、北京のマンション成約数は、新政策実施前の1、2割までに落ち込んでいます。これを受けて、中国トップテン入りの不動産業者「恒大地産」は、1.5割引セールを実施することを5月6日に発表しました。
【劉 剛(りゅう ごう)氏 略歴】
1973年12月生まれ。中国上海出身。上海の大学を経て、96年に地元の人材派遣会社に入社。10年3月より福岡に常駐。趣味は読書。
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