福岡地検は17日、福岡市が運営費用の大半を負担する体験型ロボット施設「ロボスクエア」を舞台にした詐欺事件で、福岡県警に逮捕された元市職員・新川信一、「Kogatech」(コガテック)元代表古賀俊亘の両被告を、詐欺罪で福岡地裁に起訴した。今後も余罪を追及し、追送検すると見られる。
しかし、ロボスクエア運営を巡っては、今回の詐欺事件とは別に、さらなる問題が残されている。ロボスクエアの移転費用に関する疑惑である。
移転先選定の杜撰さにはあきれるばかりだ。これまで報じてきたとおり、平成14年の開設当初からロボスクエアが入居していた博多リバレイン側からは、正式な移転要請文書がない。さらに移転費用について、複数社による見積もりや契約書もないまま、一連の移転作業が進められていた。不適切な事務処理について、誰もチェックしなかったのである。福岡市と「ロボスクエア運営委員会」の責任は重い。
《移転費用に重大疑惑》
移転に関しては、杜撰な移転先選定の問題の先に、その費用についての重大な疑惑が存在する。次の文書は、中央三井信託銀行がロボスクエア運営委員会と交わした合意書である。
移転に関し、賃貸人だった中央三井信託銀行がロボスクエア運営委員会と合意した移転費用の金額は9,000万円。つまり9,000万円までは移転費用を負担するという内容。
この年1月に博多リバレイン・イニミニマニモ館長名でロボスクエア運営委員会あてに出された文書には、移転費用を6,000万円とし、超過分を3,000万円まで負担すると記されていたが、ほぼその内容に沿った合意だったことになる。ただし、実際の移転費用は予定された9,000万円をはるかに超え、約1億2,400万円だったことが明らかになっている。移転費用の内訳について検証してみたい。
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