■庭づくりにかける想い　炸裂する情熱とパワーを持って

財産を生かすために

　別府　私は、石原さんの考えは超越したところにあると思います。実は、私は違うところにこだわりがあります。
　日本庭園の技術は歴史と文化性、それをすごく掘り下げたものがあります。京都などは寺社仏閣がたくさんありますが、福岡の庭師は日本庭園をつくる機会に恵まれていません。高齢化した職人から技術を継承する人間が少なくなっています。この状況を30年くらい放置していたら、日本庭園の本当の技術を持った人は福岡からいなくなってしまうでしょう。
　これは、儲かる、儲からないは別にして、我々の魂だと思っています。今まで培って継承してきたものは、残していかなければなりません。ただ、そうしたものを現代風にアレンジしていくことは当然必要です。しかし、原点にあるもの、オリジンのものは絶対に継承し残していかなければなりません。そこがずっと引っかかっているところです。
　舞鶴公園や福岡城址などもっと歴史性のあるものにお金を入れれば、福岡に来る人を太宰府などだけでなく、いろいろなところに連れて行けます。これだけの財産が目の前にあるのに、当の自分たちは気づいていない。そうした部分をもっと掘り下げて歴史と文化の空気、香りが漂うような景観づくりの提案が必要です。
　それがなければ、緑化は単なるブームに終わってしまうでしょう。ずっと定着させるためには、そうした歴史性・文化性を織り込んでいかなければならないと思います。

　石原　私は長崎で建築確認の諮問委員をしていますが、法律を変えたいと思っています。日本が生き残るのかどうかを考えた場合、日本には1億2,000万人いて、海外から来る観光客はたった600万人くらいですよ。日本はこれだけきれいな国なのに、人が来ない。一方でイギリスは、6,000万人の人口に対して3,000万人の観光客が来ています。
　北海道から沖縄までいろいろ行きましたが、たしかにきれいです。ただし、街がきれいではない。日本の街のなかは緑が少なすぎると思います。
　私は、地上５階以上の建物は建築確認が下りないようにすればいいと思っています。あとはすべて地下の街にすればいい。その代わり、緑化しなければ建築できないという風に変えていく。私たちがそういうことを提唱していく必要があります。
　そのためにも、具体的に皆と一緒になって何か事業をやっていかなければなりません。そのなかで、得意分野がいろいろ出てくると思います。私はそれでいいと思います。だまっていたら仕事がなくなってしまう。そこが「提案力」だと思います。

　別府　「仕事を創る」、まさしく創造提案型の発想ですね。

（つづく）

（株）石原和幸デザイン研究所
所在地：東京都渋谷区南平台町15-13
設　立：2009年１月
資本金：100万円
ＴＥＬ：03-6690-8787

（株）別府梢風園
所在地：福岡市東区青葉1-6-53
設　立：1976年６月
資本金：8,500万円
TEL：092-691-0678

【文・構成　大根田　康介】

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