■庭づくりにかける想い 炸裂する情熱とパワーを持って
「緑税」の創設を
別府 私ども造園業界では、公共工事は別にして、ハウスメーカーなどとタイアップしている業者がいます。しかし、彼らの声を聞くと、オープン外溝で庭よりも家にお金をかけるというハウスメーカーの戦略があるため、戸建の庭づくりの需要がそれほど多くないということを耳にします。
千利休は"渡り六分に景四分"と言いました。いわゆる「用と景」で、庭は機能性6割、景が4割の構成が良いと言われています。
しかし、ハウスメーカーとしては、家というのは住むためにあるもので景色では住めない、ということでしょう。ですから、機能性の部分に重点を置くようになります。外回りにはあまりお金をかけないようにする戦略ですね。シンプルモダンという発想もあり、造園業者からすれば職人技がなかなか発揮できない状況だということは否めないでしょう。
あと、私どもは去年6月に福岡市長へ要望書を提出しました。1つ目は「緑税」創設の提案です。緑がどんどんなくなっていくなかで、緑の保全のためにだけ使う税金をつくってくださいというものです。これには前例があって、横浜市で緑税が創設されました。当初はものすごく反対があったのですが、中田宏前市長が議会を通して5年間限定で設置されました。
2つ目は、緑化地域制度といって、都心部の建物にはすべて緑化を義務付けるという制度の創設です。横浜はもちろん、名古屋や京都、東京23区などの都心部はすべてあります。容積率に応じて緑化面積を決めていくのですが、税金面で控除するなどの緩和措置もあります。
3つ目は、少子化で統合され減っている学校の跡地を公園にすることです。この3点だけを要望書として出しています。
福岡市が145万人の大都市になっているなかで、しかも外国からの玄関口、博多という歴史性がある国際都市と言われているなかで、緑が少ない街でそれらの特徴がまったく生かされていません。それを誰かがリーダーシップをとってバサっと予算をとるなどしていかなければ、国際都市化などは机上の空論に終わってしまうでしょう。
石原 緑が増えることで観光客が増える。そうなることで税収が増えるというわけですね。そう考えると、海外の人が日本のどの街に行きたいかとなったとき、やはり緑がある街だという風に機運が高まればいいですね。
福岡市でも、ここに住む子どもたちが10年後にどうなっているかを考えた場合、絶対に緑というのは大事なキーワードになるだろうと思います。それを熱く、狂ったように緑のことを言う人が1人いれば、福岡は変わると思います。ただ、そういう人がいませんよね。
(つづく)
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TEL:092-691-0678
【文・構成 大根田 康介】
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