(株)マキオ
(株)マキオの2010年2月期売上高はおよそ200億円が見込まれる。約50億円の増収は09年3月に出店した「はやと店」の効果が大きい。しかし、注 目すべきは、既存店の業績が上向いていることだ。小売業界が軒並み苦戦を強いられるなかで快進撃を繰り広げる同社の秘訣を探る。
パート女性を店長に抜擢
昨年12月、「あくね店」に新しい店長が誕生した。パート店長の中村美香さんだ。地元の高校を卒業後、(株)マキオに入社。13年勤務した後、結婚を期にいったん退社。そして1年後、母親になって復帰した。この間の担当は一貫しておもちゃ売り場だった。現在は全32部門約300名の統括を担っている。「店長就任の話が浮上した際、社長は何を言っているのだろう?」と思ったという。「びっくりした。できるかな」という不安にかられた。「とりあえず、できるところまでやってみよう」と気持ちを切り替えて5カ月が経過した。
同社代表の牧尾英二氏によれば、リーダー(店長)の役割は(1)「必ずやらなければならないこと」、(2)「やってもやらなくてもいいこと」、(3)「やってはいけないこと」に分けられると指摘する。ところが、業務が煩雑になってくると往々にして「やってはいけないこと」をやってしまうという。
従業員は、困った事態が発生すると上司へ持ってくる。それを無造作に処理してしまうと、次もまた同様の問題を持ってきてしまう。次第に上司は雑用係になってしまうという悪循環に陥る。結果的に部下が育たない。ところが、(2)と(3)を部下に任せることで人材の育成が促進される。(1)だけに絞れば、業務時間も単純に考えて3分の1で済む。中村店長の現在の勤務時間は9時から17時までだ。
中村店長のルーティン業務で特別なことは見られない。出社後、店内を巡回する。気をつけているのは顧客目線である。ポップの位置など気づいた点を担当者と打ち合わせる。また、手薄な現場のサポートなど目に付いた業務をこなしていく。
牧尾氏は、女性独特の「近視眼的」なものの見方に手応えを感じている。その日のこと、目先のことに集中する姿勢がA-Z向きだというのだ。「もともとA-Zは場当たり的な店舗運営を行なってきた」(牧尾氏)からだ。
【鹿島 譲二】
(株)マキオ
代 表:牧尾 英二
所在地:鹿児島県阿久根市赤瀬川2210
設 立:1985年12月
資本金:3億4,400万円
年 商:(09/2)148億円
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