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特別取材

不況下で躍進続ける「A-Z」地域インフラ化する小売店(下)
特別取材
2010年5月24日 08:00

(株)マキオ

農業に注目した理由

 生活必需品を充実させている既存店の売上が伸びていることは、1人あたりの買い物点数が増加していることを示す。その意味で、A-Zの存在意義は増しているが、そうしたなかでも過疎化は続いている。県下で最も所得の低い阿久根市でこのまま過疎化が進めば、商圏を拡大したとしても、いずれは既存店の業績が下降に転じる可能性は高い。
100524_makio.jpg 牧尾氏は、「どんなことでも良いから仕事を持ち続けることが重要」と指摘する。既存の産業が成熟したなかで新たな雇用を生み出すには、3次産業、4次産業などの新しい産業を創り出すか、もしくは再び1次産業に立ち返る必要がある。現在は、近隣農家をまとめたネットワーク形成を視野に入れている。すでに農業法人を立ち上げている牧尾氏は、農業での採算性確保の難しさを痛感している。それでも、地域に必要とされ続けるために農業進出を視野に入れている。

小売業を地域インフラへ

 各地方自治体による店舗視察や誘致依頼などの増加に伴い、地方での生活は日増しに困難となっていることを牧尾氏は感じている。公共交通が減り、自家用車を持たない高齢者はタクシーに頼らざるを得ない。また、既存の商店街や小売業者が減少し、ますます人が減っていくという悪循環に陥っている。その意味で、A-Zは地域のインフラを担う小売業としての存在責任が増している。
 顧客のニーズに応えるため、これまで中小問屋、中小メーカーとの取引を重視してきた。たとえば、膨大な車検数を誇るA-Zでは、自社で車検ができる許容範囲を超えた。そのため、日数がかかるものは地元の業者に委託するようになった。日数がかかるほど部品交換などの単価も上がる。それをすべて地元の業者に託せば相応に潤う。今や彼らは、A-Zの圧倒的な受注数に支えられているといっても過言ではないだろう。
 一方で、過疎地ながら、ドラッグストアなどの他業態が近隣に進出してくるようになった。従業員は業績の低下を心配し、少なからず動揺したが、牧尾氏は「新店舗は我々が手の届かない部分のお手伝いをしてくれている。ありがたいことだと思いなさい」と通常業務への専念を促した。別の小売店の出店が計画にあがったときには、土地を所有する地主が「貸して良いだろうか」と相談に来た。A-Zがいかに地元に受け入れられているかを示す逸話だ。当然、牧尾氏は出店を勧めた。「お手伝いの手段が増えるのは良いこと」―共存・共生・共栄を図るA-Zならではの目的は明確だ。

(了)

【鹿島 譲二】

(株)マキオ

代 表:牧尾 英二
所在地:鹿児島県阿久根市赤瀬川2210
設 立:1985年12月
資本金:3億4,400万円
年 商:(09/2)148億円


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