福岡市が、不適切な会計処理を見逃していたばかりか、監査によるチェック機能もはたらいていなかったことが明らかとなった。
福岡県警は21日、元福岡市経済振興局主査・新川信一(54)と、ロボット関連企業「メカトラックス」の取締役・古賀俊亘(29)の両被告を、体験型ロボット施設「ロボスクエア」を運営する「ロボスクエア運営委員会」(会長 高田洋征副市長)から業務委託費約100万円を騙し取ったとして追送検した。両被告は、別の業務委託に関して同委員会から同じく業務委託費約125万円を詐取したとして先月26日に逮捕、今月17日に起訴されていた。
起訴、再送検された2件の業務委託は、ともに2005年(平成17年)8月のものだ。詐欺の疑いを持たれているそれらの業務委託とは別に、新川被告が契約書を結ばずに数々の業務を発注していたことも明らかとなっており、公金管理の杜撰さが浮き彫りとなっている。
下の文書は、福岡市に情報公開請求して入手したロボスクエア運営委員会の「平成17年度決算 監査結果」、いわゆる監査報告書である。06年(平成18年)6月19日に実施されたとする監査の結果には「平成17年度事業報告書、収支決算書と関係帳簿、証票書類を検査した結果、その係数は正確であり、かつ業務の執行状況も良好であることを認めた」とある。
しかし、新川被告による不適切な会計処理が発覚し、経理規程が改正される昨年まで、ロボスクエア運営委員会には帳簿さえなく、銀行の預金通帳で金の出し入れを確認していたに過ぎない。まともな監査ができるはずがないのだ。監査結果にある「関係帳簿」とは何を指すのだろう。
詐欺で摘発されたのは、この監査の対象となった平成17年度の業務委託に関する支出である。残された同年の監査報告書は、監査そのものがおざなりであったことを証明しており、「知らなかった」で済まされるものではあるまい。ロボスクエア運営委員会の監査では、監事のひとりとして歴代収入役、会計管理者が就任しており、改めてその責任が問われよう。
監査報告書については、さらに問題がある。
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