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通信販売業界の軌跡(3)【健康食品の表示問題を考えよう!(3)】
特別取材
2010年5月26日 08:00

総合通販から専門通販、関西から九州へ

(社)日本通信販売協会(JADMA)理事 主幹研究員 柿尾 正之 氏


<90年代、勢力図は関西圏から九州圏へ>

 ―こうしてみると、地域的な特長がありますね。

 柿尾 昔はフェリシモ(兵庫)とかニッセン、セシール、ムトウ(現スクロール)など、関西方面の企業に勢いがありましたが、今は九州に移っていますね。
 九州の通販会社は単体で100億円を超える企業が多く、アサヒ緑健(福岡)やメディアプライス(福岡)、ジモス(福岡)、えがお(熊本)など、全体で2,000億円を突破するのではないでしょうか。特に健康食品を扱う会社が多いのですが、九州地区の企業は会員507社のうち80社ほどあります。どうも会員構成としては北よりも西の方が強いようです。

 ―理由はあるのですか?

 柿尾 ネット通販などの出店社は食品を中心に北海道が圧倒的に多いようですが、会員ではロイズコンフェルト(札幌市)をはじめ5~6社です。なぜかというと、九州はたとえば「辛子明太子」などのオリジナル商品が多いのに対して、北海道や東北では、「鮭」とか「蟹」とか「ホタテ」とかの素材自体を販売するからです。(社)日本通信販売協会(JADMA)理事 主幹研究員 柿尾 正之 氏昔は贈答用などとして引き合いもあったのですが、今ではそのような素材は全国どこのリアル店舗でも並陳列してあります。ところがオリジナル商品は店舗には並ぶことは稀です。
 九州が急成長を果たしたのは、通信販売という業態に特化した点でしょう。石鹸のヴァーナル(福岡市)が30分のTVCMを流したのは印象的でしたが、通販という手法をいち早く用いたのは辛子明太子を販売したふくや(福岡市)でした。通販という商法を九州に根付かせたという意味では、貢献度は高いと思います。
 もう1つの理由として、福岡の会社は常に、関西ではなく東京のマーケットを見ているという印象もあります。なんといっても、東京が商圏としては桁違いに大きいですからね。繰り返しになりますが、時代の流れが総合通販から単品通販に流れていったというのが、九州通販急成長の追い風となったのは間違いないでしょう。個人的に見ても、まだまだ九州は有望です。

(つづく)

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