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MrMax、業績上昇は本物か?不動産頼みは変わらず(中)
流通
2010年5月29日 08:00

食品の出遅れ響く

 今期は、秋の春日店など前期の3店を上回る4店を出店することや、時津店がフル稼働するため、売上高は13.1%増の1,177億円と2ケタ台の伸び率になる。営業利益は19.0%増の9億円、経常利益は11.2%増の11億円と前期に続き大幅増益になる。
 表面上の業績は上昇基調にあるが、営業力に裏付けられた本物かどうかは即断できない。今期の予想売上高営業率はわずか0.77%で、経常利益率も1%未満。
 低利益から抜け出せないのは、リーマン・ショック後の消費者の低価格志向の高まりというDSにとって有利な条件を充分に生かし切れていないことを示す。
 その最たるものが、食品分野への出遅れ。食品は菓子やラーメン、酒類などにとどまっていたのを、本格的に扱いを拡大し始めたのは低価格志向の高まった08年になってから。米、調味料やパン、納豆、豆腐、牛乳などの日配の展開に乗り出し、前期の売上高は21.8%増の207億円と200億円を突破。売上比率も20.9%と、家電に次ぐ主力分野に成長してきた。
 しかし、食品拡大には限界があるのもたしか。自社で開発したショッピングセンター(SC)で食品スーパー(SM)をテナントに導入している場合は、日配や調味料を置けずフルライン展開できないためだ。2月開業した時津店では地元の有力SMの中村ストアーを導入しているため、食品は酒類・飲料や菓子など一部しか扱えない。市場が大きく集客力のある食品をみすみす外部業者に委ねている。パンの扱い店舗は前期末の44店中約30店で、日配チルドはわずか5店にとどまる。
 SC事業は、テナントからの家賃収入を安定的に得られる半面、投資負担が大きく、出店数は限られる。MrMaxが後発のトライアルカンパニーに売上高で大きな差をつけられてしまったのは、経営資源を一種の不動産事業であるSCに投入し、本業である小売の多店舗化に遅れを取ってしまったためだ。トライアルは資金負担の少ない居抜き出店をフル活用して急成長、前期の売上高は約2,100億円とMrMaxに2倍もの差をつけている。
 自社開発のSCのテナントから得られる家賃など、「不動産賃貸収入」は前期で43億円にのぼる。本業である小売事業は実質赤字で、不動産収入で埋め、営業黒字を確保している。DSとは言いながら、実態はイオンと同じ不動産頼みの収益構造になっている。
 SC事業に傾斜したため、ディスカウントストアの本命であるSuCにも出遅れてしまった。SuCは生鮮も低価格で販売するDSのことで、当初加工食品だけだった米国ウォルマート・ストアーズが展開に乗り出し、急成長の原動力の一つになった。

100528_mrmax.gif

(つづく)

【工藤 勝広】


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