地域でなくてはならない店に
<PBを前面に立て対抗>
―イオングループは新興のディスカウントストアやドラッグストアに比べ、人件費などの経費は高い。戦えますか。
柴田 おっしゃるように、ある種のイニシャルコストがかかるのは仕方ありません。我が社もグループの一員として、コンプライアンス(法令遵守)などクリアしなければならない基準があり、そのためのコストがかかってきます。とは言っても、決して競争をあきらめたわけではありません。イオングループではディスカウントストアの展開を始めており、順調な業績を上げています。ノウハウが確立されれば九州にも取り入れたい。
―価格競争で戦う武器は、プライベートブランド(PB)ですか。
柴田 ええ。といっても、「安かろう、悪かろう」で戦うつもりはありません。「トップバリュ」は品質と安全への信頼を前面に打ち出しています。モニターに試食してもらう場合も、わざわざ目隠ししてもらい、メーカーブランドと食べ比べをしている。味が落ちると判定された場合は商品化しません。それくらい味にもこだわっています。
―競争には負けない、と。
柴田 SMは局地戦です。地域での1店1店の戦いの結果が業績に直結する。局地戦を制するには安さだけでなく、品揃えはもちろん、便利さやサービス、販売員の接客などを含めた総合力をいかに高めるかがカギを握ります。
―その意味では、生鮮の強化が課題です。売上に占める比率はどれくらいですか。
柴田 九州のほかのスーパーに比べ、高いとは言えません。おっしゃるように、我が社にとって強化は大きな課題の一つです。
―生鮮は、イオングループのバイイングパワーのメリットが発揮しにくい分野です。大量に仕入れたからといって安くなるわけではなく、むしろ相場が上がりかねない。どう対応しますか。
柴田 難しい問題ですが、分散化させてエリアごとに対応していく方針です。108店がまとめて仕入れるのでなく、地域に権限を移す。分けるものは分け、集中すべきものは集中させていく。トップバリュやメーカーブランドは集中させ、生鮮3品は地域ごとに分けていきます。
<来期には2ケタ出店>
―設立7期目の09年2月期で、売上高1,000億円を突破する驚異的な成長を遂げました。引き続き高い成長率を目指していくのですか。
柴田 10年2月期の売上高は5.2%増でした。今期は3.5%増の目標です。出店は前期が6店で、今期は4店になる計画です。
SMとしては、総店舗数の1割を毎期出店していくことが望ましい。前期末店舗数が108店なので2ケタ出店が理想です。今期はペースがダウンしますが、来期以降は2ケタ台を目指したい。
―旧3社から継承した小型店をスクラップし、売場面積2,000m2級の大型SMに置き換えてきました。小型店の閉鎖は終わりましたか。
柴田 1,000m2級の店舗は残っていますが、必ずしもスクラップすることは考えていません。地域で必要と見なされた店舗は、マックスバリュの標準に合わなくても残していく。大事なことは、地域でなくてはならない、便利な店になることですから。
【工藤 勝広】
柴田 英二(しばた・えいじ)氏
1955年6月3日生まれ。広島大学卒後、79年3月ジャスコ(現イオン)入社。97年マックスバリュ事業本部商品部長、02年マックスバリュ事業本部長、04年商品戦略・トップバリュ本部長、06年3月イオンタイランド社長を経て、今年5月8日マックスバリュ九州代表取締役社長に就任。
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