スーパーセンターに出遅れ
SuCを展開するには、後方部門の物流システムの確立が必要になる。トライアルは約50億円の大型投資をして、福岡県田川市に精肉や鮮魚をパック加工する大型物流センターを建設。センターから売場まで定温で管理した商品を低コストで供給するシステムを整備した。
ルミエールの三角商事は、トライアルのような自前のチルド物流システムを持たないが、低価格で販売する生鮮テナント(コンセッショナリー)を導入し、事実上のSuCを展開している。このやり方だと出店数は限られるが、業態の異なるテナントで構成するMrMaxのSCより集客力は高い。MrMaxの1店舗当たりの平均年商は平均売場面積4,670m2で23億5,100万円なのに対し、3,300m2と規模の小さいルミエールは26億9,000万円を売る。
遅まきながら昨年11月、岡山市にSuC1号店を開設した。出店形態は、食品のフルライン展開ができるテナント出店で、売場面積約6,000m2。
新業態の「セレクト」にも食品を導入する。これは、広域対象の従来店ではカバーできない小型商圏を対象にしたもので、扱い品目も需要頻度の高い商品に絞る。福岡市早良区野芥の1号店に続き、昨年12月に篠栗町のホームワイド跡に売場面積2,100m2の2号店を出した。日配のほか、一部青果も扱う。
商品調達力不足を補うため、今年2月には全日本食品(株)など全国の中堅SM6社と共同仕入組織を設立した。単独では大手に対抗できないため、まとまって仕入れ、独自に商品開発もする。
最大の問題は、食品に精通した人材が育っておらずノウハウが不足していることだ。SuC1号店は、生鮮売場をテナントや専門業者に委託せざるを得なかった。SuCやセレクトの多店舗化を進めるに際して、最大のネックになる恐れがある。人材難を補強するため、大手スーパー出身者を中途採用しているが、自前の人材育成をさぼってきたツケは大きい。SuCの展開が遅れるようだと、トライアルやルミエールとの収益力の格差が一段と開くことになる。
【工藤 勝広】
*記事へのご意見はこちら
※記事へのご意見はこちら