ネットアイビーニュース

NET-IB NEWSネットアイビーニュース

サイト内検索


カテゴリで選ぶ
コンテンツで選ぶ
会社情報

大手食品営業マンの告白

大手食品営業マンの告白~健康食品「望郷編 パート1」
大手食品営業マンの告白
2010年5月31日 10:20
山笠太郎

<X社長の蹉跌>

 先日、小生の後を受け、健康食品セクションの課長をしているA君から久々に電話があった。
 「山笠さんの方にもX社長から電話ありましたか? X社長の会社が倒産しちゃったんですよぉ。今後も何とかうちの商品を仕入れたいんで、前金で良いから頼むよって言われて困ってるんです・・・・・・」と、相談というより、恐らく一番親しかった小生の所にX社長が泣きついて厄介な事になるのを心配しての電話であった。幸いにもA君の説明によると、事前に手を打っていたお陰で、小生の会社に与信の心配はないとの事(ホッ)。
 小生にとってX社長は今から25年ほど前、小生が営業マンとして駆け出しの頃、最初にお世話になった、とある地方都市の取引先のオーナー社長である。その後、中堅社員となった小生も、部下というものを持つようになった。
その頃、ガキ大将がそのまま大人になったようなX社長は、「山笠君、君とこのヒット商品の○○はまだ誰にも相手にされずに売れん頃から君に頼まれて俺が一所懸命売ってたんやぞ~」と得意満面に小生と小生の部下の前で当時の武勇伝を語っていた。昨日の事のようにその自慢顔が思い出される。
 小生も、健康食品の業界を離れて4年・・・・・・今回のX社長の蹉跌というものは小生にとっても一つの時代の終焉を強く感じさせられる出来事であった。
 年齢的にも健康面からも、恐らくX社長の再起は難しいものがあるのだろう・・・・・・願わくは健康に留意し、少しでも穏やかな老後を過ごせる事を祈るのみである。

<X社長との対面>

 昭和60年当時、駆け出しの営業マンだった小生は、東京の大手健康食品卸の部長の紹介で、東海地方の地方都市にあるX社長のところへ営業に行くことになった。
 地下鉄の某駅から歩くこと20分。昔ながらの民家のたたずまいが広がる中、ひと際古い木造の建物があった。そこがX社長の会社兼倉庫である。1階は中庭のようなスペースがあり、駐車場兼商品置き場になっている。事務所は2階にあった。2階へ登る階段はミシミシと音を立て、内心「今さら帰れないし、とんでもないところに来てしまったなぁ・・・・・・」とひるまずにはいられなかった。その思いは建物のボロさだけではなく、先約のメーカーに浴びせられるX社長の怒声・罵倒の声が、建物中に響き渡っているという異様な雰囲気からも・・・・・・である。
 X社長の初対面の印象はドラエモンのジャイアンが、がらの悪いおじさんになったらこうなるんじゃないかって感じだった。
 まだ純情可憐な? 営業マンだった小生は、内心「だまされたらイカン」とか「ひるむな・・・・・・自分!」とか、今考えると我ながら可愛かったですね。
 X社長が申すには、「うちとこは、ほかの問屋が売れん薬屋でようけ売るノウハウ持ってるんや」ということを盛んに強調していた。昭和50年代のビタミンEブーム以来、我先にと食品・製薬メーカーをはじめ、様々な業種からの新規参入で入り乱れていたビタミンEをはじめとしたカプセルタイプの健康食品(サプリメント)は、ビタミンEブームの収縮感により大量の返品問題を抱えていた。特に「文化の違い」とはいえ、まだまだ町場の薬局が多く、返品が当たり前のドラッグ業界は深刻で、食系メーカーは返品の多さに驚愕の声をあげ、その激しいやり取りから、薬卸の中にはもう健康食品には懲り懲り感も漂い始めていた最中であった。
 つまり当時の食系・薬系問屋やメーカーの誰もが、リスクが高いと思い始めていた薬局を中心としたルートに、X社長はガンガン販売し、そこそこ儲けていたのです。

(つづく)

<プロフィール>
山笠太郎(ヤマガサ タロウ)
1960年生まれ。三無主義全盛の中、怠惰な学生生活を5年過ごした後、大手食品メーカーにもぐり込む。社内では、山笠ワールドと言われる独特の営業感で今日に至る。博多山笠は日本一の祭りであると信じて疑わない。


健康情報サイトはこちら >>
健康情報サイトでは健康・食に関する情報を一括閲覧できるようにしております。


*記事へのご意見はこちら



※記事へのご意見はこちら

大手食品営業マンの告白一覧
大手食品営業マンの告白
2012年11月10日 07:00
大手食品営業マンの告白
2012年11月 9日 07:00
大手食品営業マンの告白
2012年11月 8日 15:05
大手食品営業マンの告白
2012年10月29日 09:00
大手食品営業マンの告白
2012年10月26日 13:00
NET-IB NEWS メールマガジン 登録・解除
純広告用レクタングル

2012年流通特集号
純広告VT
純広告VT
純広告VT

IMPACT用レクタングル


MicroAdT用レクタングル