産学官連携 特別座談会
2007年、九州の地で全国でも初めてとなる機能性食品・健康食品に特化したバイオクラスター計画が産声を上げた。九州地域バイオクラスター推進協議会の下、九州全域から大学、研究機関、原料メーカー、販売会社など177社・団体が参加する堂々の産官学プロジェクトだ。研究・開発から販路開拓支援まで、一連の商流をカバーする一大プロジェクトとして関係者の注目を集めている。09年には、一番食品(株)(福岡県飯塚市)による『発酵黒八女茶』や(株)阿蘇ファームランド(熊本県南阿蘇村)による『どぎゃん』など、産学官マッチングによる商品化も果たしている。事業自立化の年となる3年目の今年、同プロジェクトに新たな課題も浮上した。九州経済産業局をはじめ同協議会の各部会を代表するメンバーを招き、これまでの足跡を振り返りながら将来展望を考えた。
需要が高いジャパンブランド健食
――九州地域バイオクラスターでは今後海外での展開も視野に入っているのでしょうか。
秋本 具体的には2つ検討しています。 1つは韓国南部と九州との間で、バイオ関連の連携をとれないかと考えております。
2つ目は、フランスのなかにクラスターが60数個あるらしいのですが、そのなかに3つほど食品関係のクラスターがあり、その連合体FC2(フランスフードクラスター)との連携を検討しています。
いずれにしましても、わが国の食品マーケットは少子高齢社会も踏まえて今後は縮小傾向にあるとされるなかで、いっそう海外に出る必要性は増してくると思います。そのようななか、中国を含めてアジアのマーケットというのは大変魅力があると感じています。そのあたりを念頭に置いて、欧米国も含めて、ひとつの方向性として海外展開を考える必要があると思っています。
宮房 弊社などでは、海外からの健康食品の引き合いは多いですね。北九州市と大連が姉妹都市という関係から北九州市がアンテナショップを展開しており、そこでいろいろな企業の商品の紹介を行なっているのですが、特に日本ブランドの美容食品・健康食品に対する需要は高いようです。ですが、中国といいますとどうしてもわが国の商流とは違いますので、リスクも伴います。
――具体的にはどのような問題があるのですか。
宮房 やはり決済システムの違いと、輸出業務ということになりますのであまり大きくない物量ですとか、ちょっとした問題があれば船積みが止められるというトラブルがあり、安定しませんよね。向こうは貿易権と販売権がないとビジネスができませんので,煩雑さを考えると、どうしても香港とか韓国とのビジネスが中心になっていきます。ただ魅力的な商圏であることには変わりがありません。
深見 海外からの健康素材の売り込みも韓国をはじめとしてけっこう多いし、積極的ですよね。そういうもので本当にいいものは使うし、エビデンスが確かでないものは使わないという取捨選択が必要です。そうしてコラボレーションして商品化するなかで、国内での市場も増えるし、逆に輸出のチャンスも出てきます。いずれにしても、いろいろな出会いがあるのが一番で、いろいろな人やマーケットの刺激もできるし、九州・日本・海外とバランスのいい展開をしていく必要がありますね。
<出席者> | |
九州経済産業局 地域経済部製造産業課 次世代・基盤産業担当参事官 秋本郁夫氏 |
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九州地域バイオクラスター推進協議会 企画運営委員会委員長 /オーム乳業(株)専務取締役 農新介氏 |
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九州地域バイオクラスター推進協議会 マーケティング部会副委員長 /一番食品(株)企画部部長 兼 通信販売事業部長 宮房伸博氏 |
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九州地域バイオクラスター推進協議会 人材育成関係部会企画運営副委員長/崇城大学 特任教授・農学博士 岩原正宜氏 | |
九州地域バイオクラスター推進協議会 クラスターマネージャー /九州大学 知的財産本部 特任教授・農学博士 深見克哉氏 |
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