「9,000億円の投資能力がある」と公言している「株式会社 産業革新機構」という会社をご存知だろうか。同社は、革新性のある事業などに対し成長資金を提供、経営参加型の支援を行なうことを目的としている。2009年7月、政府が820億円、民間企業16社が80億円を出資し、総額905億円の資金規模で同社が設立された。ただし、金融機関から資金を調達する場合、政府保証で8,000億円まで引き出すことが可能。つまり、"9,000億円の投資能力"があることになる。
ところが最近、「期待ハズレだ」という声が研究者や技術者の間から上がっている。これまでに投資を決定した事業は数例を数えるのみ。まだ設立から日が浅いとはいえ、「最大9,000億円と言う割には、投資スピードが緩やかすぎる」との批判が起きている。海外では日本と違い、優れた技術やベンチャーには惜しみなく投資する傾向が強い。事実、日本で行き詰まった研究者・技術者が、海外へ"亡命"するケースも起きている。
資金不足に苦しむ研究者やベンチャー企業にとっては、救世主となるべき存在だけに、今後の事業展開に期待したい。
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