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九電川内原発の謎(1)―「推定断層」とサメやクジラの死骸漂着(中)
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2010年5月 1日 08:00

<不可解な現象、新たな疑問>

 一つは、設計段階はもとより、運転開始時にもわかっていない断層の存在だ。
 「95年発行の工業技術院『日本地質体系』という地質地図で発見したんですが、原発の真下と少し離れたところに断層が走っています」
 と話すのは、土木管理技術士でもある川内住民の辻重義氏。資料を確認すると、たしかに原発のほぼ直下に数百メートルの短い断層が示してある。同原発は川内川河口に設けられているが、その河口には数キロの、さらに原発のほど近くにも南の串木野方面へ数十キロの断層がある。
 資料作成プロセスを調べると、工業技術院(現産業技術総合研究所=産総研)発行ではあるが、もともと作成したのは国土開発技術研究センター(現国土技術研究センター)。全国の地域ごとに大学教授ら地質専門家を動員して調査し、85年にまとめられたものだった。「これは『推定断層』、すなわち断層と推定されるということです」(産総研地質相談所)という。となれば九電はこれをどう評価しているか。3号機の設計には当然、1,2号機の耐震補強も問題になる可能性がある。
 地震について、中村氏は公聴会で、97年に川内市で震度6弱の地震があったが原発に影響はなかったとする。さらに、07年の中越沖地震で震度7弱に見舞われた東京電力柏崎刈羽原発も「設計通り自動停止したから安全」であり、「放射能漏れもなかった」としている。しかし、同原発は甚大な被害を受け7基とも全面停止、運転再開したのは1機のみである。さらに、筆者が同地震後の東電原発を取材した際、原発内タービン室で鳥の羽を発見。同社に放射能漏洩を指摘したが説得力のある説明や反論はなかった。
 密閉された原発内にあるはずもない鳥の羽があるということは、遮断されていた原発内の空気と外気が繋がったということだ。同原発では事故やトラブルで原子炉建屋やタービン建屋内の気圧が高まると、ブローアウトパネルと呼ばれるものが自動的に外れて気圧を外へ逃がす。東電は地震でボルトが千切れたというが、どちらにせよ内外の空気が一体化して放射能が漏れたのは間違いない。パネルは4m四方。外れたのは1枚でも、そんな大きな穴が開きっ放しになれば鳥そのもの、あるいは敷地内に落ちていた羽が舞い込んでも不思議はないからだ。

(つづく)

恩田 勝亘【おんだ・かつのぶ】
1943年生まれ。67年より女性誌や雑誌のライター。71年より『週刊現代』記者として長年スクープを連発。2007年からはフリーに転じ、政治・経済・社会問題とテーマは幅広い。チェルノブイリ原子力発電所現地特派員レポートなどで健筆を振るっている。著書に『東京電力・帝国の暗黒』(七つ森書館)、『原発に子孫の命は売れない―舛倉隆と棚塩原発反対同盟23年の闘い』(七つ森書館)、『仏教の格言』(KKベストセラーズ)、『日本に君臨するもの』(主婦の友社―共著)など。


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