先月26日、福岡県警は福岡市の元係長級職員・新川信一容疑者と、「ロボスクエア運営委員会」(会長 高田洋征副市長)と多くの業務契約を結んでいた「メカトラックス」(福岡市早良区百道浜TNC放送会館2階・ロボスクエア内)取締役・古賀俊亘容疑者を詐欺の疑いで逮捕した。
直接の容疑は、05年8月に行われた『ヒューマノイドカップロボットバトル大会』に関する契約金の詐取。両容疑者は、当時「Kogatech」(コガテック)の代表という形で個人的にロボスクエアの仕事を受注していた古賀容疑者とロボスクエア運営委員会との間で、実際は仕事ができないことを認識していながら業務委託契約を結び1,258,950円を詐取したというもの。新川、古賀の両容疑者は、この仕事を別の会社に安価で丸投げし、差額を懐に入れたと見られる
翌27日には、県警が福岡市経済産業局産業政策部科学技術振興課(ロボスクエア担当・事件当時は『産業政策部新産業第1課』)や、早良区のTNC放送会館内にあるロボスクエアで家宅捜索を行った。市役所への家宅捜索は8年ぶりのこととされるが、市職員の綱紀のゆるみを象徴する出来事である。
ロボスクエアを巡っては昨年、07年にロボスクエアが現在の場所に移転する際、工事費などについて、契約書を作成せずに電通九州などに仕事を発注していたことが発覚。新川容疑者が停職3か月の処分を受け依願退職したほか、複数の幹部職員が処分を受けていた。
データマックスの取材により、ロボスクエア運営委員会には「会計帳簿」がなかったことなどもわかっており、市役所による杜撰な資金管理が犯罪を呼んだと言っても過言ではない。
市役所に家宅捜索が行われた27日、高田洋征副市長にコメントを求めたが、返ってきたのは秘書を通じての次の文書だった。
高田副市長は、福岡市のナンバー2というだけでなく、「ロボスクエア運営委員会」の会長である。元担当職員が逮捕され、市役所が家宅捜索を受けたにもかかわらず、まるで他人事のようなコメントだ。最高責任者としての市民への謝罪さえない。
『ロボスクエアの事務処理に関し、元職員が逮捕されたのは極めて遺憾』と記されているが、『遺憾』とは政治家や役人が不祥事を受けて発する言葉であり、「残念に思う」程度の意味でしかない。公金が騙し取られたということに対し、怒りもないようだ。こうした市幹部の緊張感を欠く姿勢が、市職員の綱紀のゆるみを呼び、不祥事の連鎖を作り出す。現在の吉田市政の実態であるともいえよう。