11日、赤松農林水産大臣は、定例記者会見で宮崎県の口蹄疫問題に関し、最初の確認日の4月20日から3週間経った5月10日になって現地を視察した経緯について、以下のように説明した。
「宮崎県を訪問し、ご苦労されている皆様を激励したいという気持ちは、以前から持っていた。しかし、私が現地を訪問すれば、"マスコミ関係をはじめ多数の方が訪れる"ことになる。とにかく今は、防疫対策をする人以外はできるだけ立ち入らないようにし、蔓延させないようにしなければならない」。また、風評被害を防ぐことも現地視察を見合わせた理由に掲げた。
宮崎では、国の初動対応の悪さを指摘する声も少なくはない。10年前に口蹄疫が確認されたとき、735頭の殺処分で済んだという事例があるからだ。感染被害が激増する一途をたどっていたなか、赤松農相は4月30日夜から5月8日まで、メキシコ、キューバ、コロンビアへ出張している。その間、農相代理を勤めた福島瑞穂・消費者担当相も宮崎へ駆けつけてはいない。徹底した蔓延対策とでも言うのだろうか。ちなみに福島氏にとって宮崎は地元である。赤松農相は「大勢のマスコミを引き連れることになる」と言うが、現地で関係者以外をシャットアウトすればいいだけの話ではないだろうか。現地では、確認農場及びその近隣農家や防疫作業現場周辺での取材は、事実上禁止されている。
さらに同じ記者会見で赤松農相は「4月20日と23日の段階で初動の対応はやった」「6日、7日になって被害が急激に拡大した」などの発言をした。11日の宮崎県発表によると、現時点における最大規模の川南町・養豚経営15,747頭(18例目、殺処分終了)は、5月4日に確認されている。その後も、口蹄疫の確認事例は増え続けており、11日の時点で71例目、77,168頭(牛5,894頭、豚71,274頭)を数えている。とても"初動の対応"が十分であったとは言い難い。
今回の口蹄疫問題は、宮崎県の畜産農家に大打撃を与える大災害である。現地では、殺処分をする牛や豚の数が多すぎるために死体を処理する埋却地が無いという問題も起きている。規模から言えば、他の地域へ感染拡大するおそれもあるだろう。会見で、時折、苦笑いを浮かべていた赤松農相には、危機感のかけらも感じられなかった。
▼参照サイト
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