ヒュウガトウキとの出会い
また水野修一医学博士は、2008年12月に九州大学で行なわれた日本統合医療学会で、ヒュウガトウキに関する次のような報告を行なっているので一部抜粋して紹介する。
「じつは漢方を初めて10年ぐらいたったときに、ヒュウガトウキという生薬にめぐり合いました。これは私の患者さんが持ってきたものですが、セリ科の植物で、九州の大分と宮崎にのみ存在しており、原生地では神の草として非常に珍重されたものです。一時イヌトウキと誤解されて学術文献もそういう形で出ておりましたが、あとで検証したところ、実はヒュウガトウキだということがわかりました。学名の改定を第19回和漢医薬学会に発表して改定して頂いております。ヒュウガトウキは朝鮮人参と根が似ていたものですから、俗名として日本山人参と名づけました。アメリカの専門家が薬効の検討をしておられますが、どういうことがわかったかというと、発がんプロモータの抑制作用があります。また血中の一酸化窒素の産生抑制、さらに血小板凝縮抑制にはかなり強いものがあります。血圧に関連して、アンジオテンシン変換酵素の阻害作用もあります。ほかにも、インシュリンの末梢での活性を上げて糖代謝を促進させる作用を有しています。
このように、ヒュウガトウキは朝鮮人参と匹敵する薬効をもっているのですが、相違点は、朝鮮人参系統はいずれも血圧を上げるのですが、ヒュウガトウキは血圧を抑制します。これは、未来の21世紀の朝鮮人参とさえいわれています。さらに、抗腫瘍活性が動物実験で確認されました。
マウスに、イニシエーションとしてNジエチルニトロサミンというのを一回注射します。そして発がんプロモーターとして0.09%のフェノバルビタールを飲料水として持続的にのませます。20週経って確認してみると、肝臓に多数の腫瘍ができています。試験群は同じようにイニシエーションしていますが、プロモーターの中にいろんな試験薬を抽出したものを入れて比較しますと、もちろん何もしなかったラットには腫瘍はありませんでした。イニシエーションだけしたものも腫瘍発生はありません。プロモーションだけかけたラットにもありませんが、ところが、両方やったラットには15匹のうち13匹に計39個の肝腫瘍ができていました。ヒュウガトウキの抽出物で見ますと、ラット6匹に12個の腫瘍ができただけで、ほかはできませんでした。腫瘍は抑制されており、発生率は40%という画期的な結果でした。
がんに効くというキノコやアガリクスでは7匹に15個。両者の合剤では6匹に13個と、いずれも強い抑制作用を確認しています。
ヒュウガトウキの場合は50%の阻止率が3.69マイクログラムで、これは治験としては相当強力な力を持っています。実際に延命効果があると思われますが、それが何に由来しているかというと、NK活性とは関係なく、別の要因だろうと考えられます。
血圧の患者に実薬とプラセボのクロスオーバーでやってみたところ、最高血圧は8週間で有意に下がっています。最低血圧も有意に下がっております。このことから、糖代謝の改善作用と抑制作用も見られます。」(水野博士)
【田代 宏】
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