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上海最先端レポート

上海にアントレプレナーが生まれない理由(上)~日本人が知らない中国事情(25)
上海最先端レポート
2010年6月 2日 14:15
劉 剛
<残念な現実>

 2009年12月下旬、中国中央テレビ局による「2009年度経済人物」「十年間商業リーダー」のリストが公表されました。残念ながら、各トップ10に上海からはひとりも選ばれませんでした。
 上海が中国経済の中心と言われる一方、過去10年ないし30年の間に全国的なアントレプレナーが生まれてない事実は、上海にとって提起してもらいたくない話題です。
アントレプレナーとは、地域の看板と言える起業家のことです。改革開放以来、上海には優秀な企業経営者や管理者が数多く現れましたが、上海で起業し、地元経済と共に成長し、全国的な成功を収めた起業家はあまり見当たりません。

 世界的に有名な「青島ハイアル」(山東省)、BtoBサイトの大手「阿里巴巴(アリババ)」(浙江省)、保険グループの「中国平安」(広東省)などは、民間企業でありながら、社長らが全社員を率いて、自らの努力により、企業をゼロベースから全国的なブランドに成長させました。そのことでアントレプレナーとして認められたのです。

 「宝鋼」「東方航空」など上海の名門企業は国営である以上、国の力で強くなります。これらの企業のトップは、アントレプレナーというより優れた管理者または幹部と言うほうが適切でしょう。
では、なぜ上海にアントレプレナーが生まれないでしょうか。専門家は、アントレプレナーが育ち、大きくなる土壌がないと指摘しています。

<国営企業中心>

上海には、いろんな形態の経済組織がありますが、主導的な地位を占めるのはやはり国営企業です。政府に従順な国営企業は、政府がコントロールできます。よく話を聞いてくれるからこそ、政府は益々国営企業を可愛がり、その基盤を固め、発展を促進します。

 2008年のリーマン・ショックの影響を受け、国内失業率が上昇、社会に不安定がもたらされた頃、国営企業こそ、社会の中堅として、政府と緊密に連携、協力し、断固としてリストラしない方針を取りました。それが高く評価された結果、国営企業がその後一層重視されることになりました。

 でも、国営企業は、政府にコントロールされている以上、あまり自由を発揮できません。企業のトップが政府に任命され、一定の業績を上げれば、そのトップも政府の高官になる可能性が極めて高い。企業の経営方針が政府の経済社会計画に従って制定され、経営者が市場の変動や未来の展望によって、経営方針を決めることがなかなかできません。さらには企業の資金繰りを自分で決定できず、様々な政府機関から根回しされると考えられます。
 したがって、国営企業は政府からの"熱心な指導"を受けざるを得ない。アントレプレナーが成長するうえで一番重要な自由がありません。アントレプレナーは、自分の分析と判断で企業の理想像を描き、それに向かって、いろんな資源を利用して努力します。各部門の人員配置や資金投入などの決定権なくして成功することは想像できません。

(つづく)

劉剛氏【劉 剛(りゅう ごう)氏 略歴】
1973年12月生まれ。中国上海出身。上海の大学を経て、96年に地元の人材派遣会社に入社。10年3月より福岡に常駐。趣味は読書。


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