福岡市が標榜する「アジアの玄関口」は、表面だけのものだった。
福岡市博多区にある「博多港国際ターミナル」は、韓国・釜山との定期旅客航路を有し、JR九州高速船のジェットフォイル「ビートル」や未来高速の「コビー」、カメリアラインのフェリー「ニューかめりあ」などが発着する「海の玄関口」である。
平成5年の開業から今年5月までに、ビートルの乗船客だけで400万人を超えたとされる。
現在、ターミナルの玄関前で整備工事が行われているのだが、写真のように「一般車両 進入禁止!」の立て看板。つまり、バスとタクシー以外はターミナルの玄関に車を着けることができないのである。進入口に立つ警備員は「ここからは入れません」。<出迎え、見送りの車はどうするのか>と尋ねたところ、「この周辺で待っていてもらう」のだという。
この対応には、ふたつの大きな問題がある。
第一に、「一般車両」に乗ってターミナルに来た人にとって、いきなり玄関まで歩けというのでは不親切である。ターミナルを訪れる乗客の中には、大きな荷物を抱えた人がいるはず。玄関までは一定の距離があり、急ぎの場合などは面食らってしまうだろう。丁寧な案内がないことで、トラブルを招くことも考えられる。バス、タクシーは通しておいて、一般車両は通さないというのなら、それなりの説明が必要だろう。
最大の問題は、外国の客をもてなすという姿勢が皆無であることだ。
車を降りて周辺を確認したが、一般車両が玄関口に進入できない理由を説明する看板などは何もない。しかも、「一般車両 進入禁止!」は日本語によるものだけで、お客様である韓国の方々に対応する「ハングル」による表示は何一つないのだ。日本人乗客に対しても極めて不親切だが、韓国の方々にはさらなる不便を強いていることになる。
31日、市港湾局の担当課長を訪ね説明を求めたが、こうした事態は警察の責任がどうのとまったく要領を得ない話が返ってきた。やむなく港湾局長に面会を求めることにした。
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